騎手としての最後の日、福永に贈る「餞(はなむけ)」は特別版。競馬学校時代から一歩先を歩く兄のように、時に厳しく時に暖かく見守ってきた
四位洋文調教師(50)=栗東=が馬トク報知にメッセージを寄せた。
× ×
ユーイチが今月末をもって調教師に転身する。「お疲れさま」っていうねぎらいの言葉じゃなくて「もったいない」という言葉が浮かぶ。受験する1年前ほどに聞いていたけど、僕も調教師となって彼に乗ってもらうと安心して見ていられたからね。「ホント、いいの!?」って。
今なお騎手として最前線にいて競馬界をリードしている存在。こんな状況に身を置く騎手が転身を決断したことがないし。特にここ数年は熟練の技も加わって完成期に入ったって感じもしてたから余計に。
出会いは彼が競馬学校生の頃。自分がデビュー当初、北橋先生や瀬戸口先生の馬によく乗せてもらっていたこともあって候補生の時は
バレットもやってもらっていた。とにかく馬乗りとしてうまくなりたいという気持ちが強かったし、新人当時は厳しいことも言ったけど、一段階ずつスキルを上げていった。
とにかくクレバーだった。競馬当日朝に馬場を歩いてチェックし、馬場傾向もデータに取ってた。競馬新聞には何種類ものラインを入れてラ
イバルの情報もしっかり叩き込んでいた。この蓄積が大胆な騎乗や好騎乗につながっていたことは言うまでもない。トップジョッキーの座をつかんだのは、技術を磨く以外の努力もあったからだよ。
これまでのユーイチを見てきてトレーナーとしても間違いなく成功すると思う。騎手と競走馬という関係だけだったから「普段の馬は怖い」って言ってたけど(笑い)。お互い調教師となったこれからは、強い馬を送り出して競馬界を盛り上げていければ。ラ
イバルとして切磋琢磨(せっさたくま)して頑張って行こう。(
JRA調教師)
スポーツ報知