競馬ファンにとって忙しい週末となりそうだ。豪華メンバーが揃う
高松宮記念、
日経賞など4重賞が組まれる国内だけでなく、UAEメイダン競馬場で日本時間25日夜に行われる「
ドバイワールドカップデー」も見逃すわけにはいくまい。
サウジカップデーに続く日本馬大活躍の予感が漂うが、中でも注目は
ドバイターフ(芝1800メートル)に出走予定の日本が誇るダービー馬
ドウデュースだろう。海外デビューとなった昨夏のフランス遠征ではまさかの大敗。今度の遠征では日本のファンが知る“強い”
ドウデュースを見せることができるのか? 現地・ドバイまで同行取材する西谷記者が核心に迫った。
不発に終わったフランス遠征での2戦がうそのような圧勝劇。前走・
京都記念で輝きを取り戻した昨年のダービー馬
ドウデュースが、日本の期待を背負い再び世界に挑む。
逆襲のカギを握るのは精神面だ。
凱旋門賞(19着)はレース直前の雨もあったが「もともと雨も得意な馬。それだけではなかったと思う」と
武豊が振り返れば、友道調教師も「本来なら前哨戦を叩いて上昇するはずが、思ったほど気配が変わっていなかった。環境が変わったせいか少しおとなしかった」と分析。気持ちが競馬モードに入り切っていなかったこと。馬場適性うんぬん以前に、これが本当の敗因だったのかもしれない。
今回は2度目の海外遠征。馬の慣れも見込めるうえ陣営も前回から
アップデートしたノウハウを手に臨むことができる。トップステーブルの意地としても同じ轍は踏むまい。となれば、ドバイ遠征は不安より楽しみのほうが極めて大きい。何より、この中間に騎乗した
武豊に「馬ってこんなに速く走れるんだ」と言わしめるほどの
ドウデュース自身の充実ぶり。「1回使ってさらにいいですね。前回がちょっと余裕残しで、今回の方がシャープ。体は細くないのにシャープに感じる。いいんじゃないですか。楽しみですね」。海外G1通算10勝に王手をかけるレジェンドの言葉にも自然と高揚感がにじみ出る。
9日に天国に旅立った
父ハーツクライは爆発力のある産駒を多く残した。
リスグラシューや
ジャスタウェイなど無双状態に入った彼ら彼女らが国内外の大レースを席巻してきたのは記憶に新しい。そして、今の
ドウデュースにもハーツ産駒特有の“ゾーン”に入った雰囲気を感じずにはいられない。
もちろん、管理する友道調教師も「前走はフランス帰りというのがあったのでどんな競馬になるかと心配な気持ちもあったけど、こちらが思っている以上に強い競馬をしてくれた」と好感触。
ヴィブロス(17年)以来2度目の
ドバイターフ制覇に向けて「使ったことでガス抜きできているし、上積みは大きい。威圧感が出て、ダービーの時より活気がある」。自信の口ぶりで上昇ムードをアピールだ。
コースも偉業を後押しする。右手前で走るのが好きな
ドウデュースにとって、左回りのメイダンはおあつらえ向きの舞台。さらに「自然の地形をそのまま利用した欧州のコースと、整地されたドバイとでは全然違う。それが日本馬が多く結果の出ている理由でもあるんじゃないかな」。こうトレーナーが指摘するように、日本と似た馬場で競馬できることも大きなアドバンテージとなる。
昨秋の悔しさを糧に2度目の海外遠征をクリアし、さらなる高みへ――。「左回りは絶対いいだろうし、1800メートルの距離もいい。今年はこの馬で、とワクワクしています」と
武豊。フランスでの悪夢を払拭し、強い
ドウデュースの真の姿を世界に見せつける準備は着々と進んでいる。
(西谷哲生)
東京スポーツ