アザレア賞(4月1日=阪神芝外2400メートル)は、後のダービーチケット奪取につながる重要なレースだ。実際、2015〜17年の勝ち馬
レーヴミストラル、
ヴァンキッシュラン、
アドミラブルは、次走で
トライアルの
青葉賞を制してダービー出走を果たしている。今年もなかなか骨っぽい馬たちが集結する中で記者が注目しているのは
スマートファントムである。
勝ち上がりはデビュー3戦目の未勝利戦(阪神芝内2000メートル)。そして昇級後は1勝クラス2戦で勝ち星を挙げられず。戦歴的にはかなり地味に見えるかもしれないが…。記者は前々走の
つばき賞(阪神芝外1800メートル)でただ者ではないと感じた。
というのも出遅れて最後方を追走する形になりながらも、直線ラスト200メートルあたりから猛然と追い上げ始め、最終的には2着馬から半馬身+アタマ差の4着まで押し上げてみせたのだ。自身の上がりが32秒7に対して、レースのそれが33秒8。実に1秒1も上回るタイムを叩き出したことになる。
「直線はいい脚を使ってくれたけど、出遅れたうえに、仕掛けがワンテンポ遅れたところもあったからね」と石橋調教師が悔しそうに当時のレースぶりを振り返るのも当然だろう。
ところが、前走の
ゆきやなぎ賞(阪神芝外2400メートル)では手応えの割に伸びあぐねての7着。「距離の壁」にも見える案外な負け方ではあったが、果たしてトレーナーの見立てはいかに!?
「流れが向かなかったこともあるんだろうけど、あの時点ではまだ体力がつき切っていないところもあったかな。血統的には2400メートルは問題なく持つはずなんだ。まあ、持ってほしいという願望もあるんだけどね(笑い)。とにかく改めてどういう競馬ができるか見てみたい」
トレーナー自らが調教で手綱を取り、感触を確かめ続ける中で、距離を克服する手応えはもちろん、クラシックで戦える手応えもまたつかめているのではないか。
かつての「ダービージョッキー」でもある石橋調教師が認める素質馬
スマートファントム。
アザレア賞で見せてくれるであろう反撃の走りにぜひ注目してほしい。
(鈴木邦宏)
東京スポーツ