牝馬クラシック初戦の第83回
桜花賞・G1(9日、阪神)の枠順が6日、決まった。G1初挑戦の晴れ舞台を楽しみに待つ
ジューンオレンジの吉川潤オーナーを直撃した。
―なぜ馬主に?
「妻の父が競馬好きで、
ダイワスカーレットなどで『儲かった〜』みたいな話を聞いていて、面白そうだなと。
一口馬主もやってみてワクワク感があり、いつか自分の馬を、とは思っていました。私の父が『65歳で引退してゆっくりするわ』というタイミングで病気にかかり、1年後に亡くなりました。それで、老後が来るとは限らないんだなと思い、やりたいことはやれる時に、と価値観が変わり、妻にも相談して1頭持ちを始めました」
―13年に栗東・今野厩舎から
ジューンメイがデビュー。なぜ冠名を「
ジューン」に?
「(馬主になる際に)何のつてもなかったので、調教師会に電話して、今野先生から連絡をもらいました。それが4月ぐらいで、
ブリーズアップセールに行き、1頭目に買った馬です。私の名前(潤)と妻の名前から『メイ』を採りました。次の馬名はどうしようかとなった時に、妻が『冠名は
ジューンで良いのでは?』と言ってくれました」
―馬主ライフ約11年で、
ジューンオレンジの報知杯FR・G2が初めての重賞挑戦。
「地方も含めて、初めてでした。今まで慎重だった? いえ、特別も勝たないし、勝ち星に恵まれませんでした。1勝クラスまでの馬が多かったです」
―11番人気ながら3着に入り、
桜花賞の優先出走権を手に。
「うれしいだけです。長谷川調教師は『ごめんなさい、もうちょっとやれたと思います』と電話をくれましたが、権利を取れて十分うれしいです。阪神競馬場の観覧席で、(生産者の)
ヒダカファームさんと一緒に見てましたが、泣いて喜びました。僕は幸せです」
「オレンジ」と名付けた由来は?
「娘の学校の学年カラーです。中1から高3まで、その色を背負って『オレンジさん』と言えば、いつ入学したか分かるようになっています。娘が中1で入学したタイミングで、牝馬でしたし、芦毛ですがオレンジと付けました(笑い)。やっぱり家族にちなんだ名前になることが多いですね」
―今年は
ジューンアマデウスで、ご自身として初めて2勝クラスを勝つなど好調ですね。
「急にですね。特に予兆はなかったんですけどね。ベロシティも(障害で)オープンを勝つし、妹のオレンジも活躍するし、ここ数か月で母の繁殖の価値が急に上がりました。オレンジの1歳下の弟が
キズナ、2歳下の妹が
ドレフォンで、今年は
コントレイルを種付けしました。夢がありますね」
―馬主としてのポリシーは?
「決めごとはありません。乗馬をやっていると(競馬までの過程や騎乗が)いかに大変か分かるので、プロに言うことはないです。
リスペクトしかありません」
―乗馬を?
「40歳から始めました。競馬の方が先です。娘が、子供会で行ったキャンプをきっかけに、もっと乗馬をしたいという話になり、
JRAの方に乗馬クラブを紹介してもらいました。今では私がすっかりハマって週6回、毎朝1時間弱乗っています」
―最後に今回の抱負を。
「長谷川先生が『次も富田(騎手)で良いですか?』と連絡をくれました。僕の馬で何回も勝ってくれて、信頼しているジョッキーの1人なので指名しました。まずは無事に出走してほしいです。着順よりも、彼女の持ってる力を存分に発揮してもらえたら満足かなと思います」
◆吉川 潤(よしかわ・じゅん) 1975年4月3日、奈良県大和高田市出身。48歳。大阪在住。関西大学工学部卒。15年から吉川ホールディングス代表取締役。兵庫県馬主協会の理事も務める。家族構成は妻と2女。趣味は乗馬。
スポーツ報知