クラシック三冠の初戦を飾る
皐月賞(3歳牡牝・GI・芝2000m)。本稿では
ゴールドシップが勝利した2012年のレースを振り返ってみたい。
ゴールドシップは
父ステイゴールド、
母ポイントフラッグ、母の
父メジロマックイーンという血統。同じ父・母父の組み合わせから3冠馬
オルフェーヴルなど多数の活躍馬が誕生しており、強力なニックスの関係として知られる。
11年7月に札幌競馬場で迎えたデビュー戦を勝利し、続く
コスモス賞も制して重賞戦線に加わる。
札幌2歳S、ラジオNIKKEI杯2歳Sでは追い込み及ばず2着だったが、年明けの
共同通信杯では先行押し切りの競馬で惜敗続きにピリオド。重賞タイトルを引っ提げてクラシックに向かった。
■18番手から生まれた伝説
12年の
皐月賞は混戦模様だった。
スプリングSを制した
グランデッツァが単勝3.1倍で1番人気に推されたが、連勝中の
ワールドエースが3.2倍と抜けた馬は不在。当時は
共同通信杯→
皐月賞のローテに馴染みが薄かったこともあってか、
ゴールドシップは7.1倍の4番人気だった。
ゲートが開くと
メイショウカドマツと
ゼロスが飛び出し競り合う格好。早くも縦長の展開になる中、
ゴールドシップは好スタートから控えて最後方に構えた。直前の短い中山で18番手から差し切るのは容易いことではないが、鍵は“内が大きく荒れた馬場”だった。
当日の中山は前日からの雨で馬場が傷み、前半戦から外差しの傾向。9Rでは内を7、8頭分空けて走るほどになっていた。
内田博幸騎手は
ゴールドシップの力強い走りなら荒れた馬場もこなせると判断。「大外を回るぐらいなら…」と、距離ロスを考え後方の内ラチ沿いにこだわったのだ。
1000m通過が59.1とハイペースになり、3コーナーからは馬群が凝縮。ほとんどの馬が大外を選択し、かなりの距離ロスを強いられる中、
ゴールドシップと内田騎手は荒れた最内を突き進んだ。ショートカットするように内からマクって3番手まで上昇すると、直線でも勢い衰えず2馬身半差で快勝。3〜4コーナーの走りは“ゴルシワープ”と称され、今なおファンの中で語り草になっている。