今春、競馬学校の卒業式、入学式取材を担当した。その質疑応答では「勝ちたいレースは? 」というのが鉄板の質問。答えは…ダービーや
ジャパンカップ、ワールドワイドになっている最近は
凱旋門賞やドバイというものも多い。さらに自分の出身地やルーツ(初めて行った競馬場など)にちなんだレースが挙がることも。いずれにせよ、40代後半にさしかかろうとしているオジサン記者にとって大きな夢を語るきらきらとした若者の姿は非常にまぶしく映る。
ただ、現実にはその夢をかなえることができるのはわずかな者だけで、その目標に近づくことすらできない者も。非常に厳しい優勝劣敗の世界でもある。
そんなふうに考えると、今週の
天皇賞(春)(30日=京都芝外3200メートル)で夢への“第一歩”となるGI初騎乗を果たす
永野猛蔵(20)は素直に応援したくなる。コンビを組むのは3歳5月以来、主戦を務める
エンドロールだ。
「前走を勝った後にチラッとそんな話(天皇賞参戦)になっていたけど、正式にオ
ファーをいただきまして。本当にうれしかったし、感謝ですね。(GIは)一番上の舞台。そこに立てるように、とやってきましたから」。そう喜びを語る一方、「僕自身、3000メートル以上のレースは乗ったことがないので…。難しい舞台だし、ジョッキーの駆け引きもあって技量の問われるレースですね」と気を引き締める。
デビュー3年目の若武者にとっての大舞台挑戦は「GIの雰囲気もあるし(周りのジョッキーたちも)ピリピリもするでしょう。そういうものを感じとって、いい経験にできれば」と得るものは大きいはず。そして、それは「今の成績はまだまだ満足していない。今年中に100勝(23日終了時点で68勝)したいと思っていたので。技術を上げられるように努力したい」という目標達成のために間違いなく生きてくるだろう。
ちなみにコンビを組む
エンドロールについて管理者の青木調教師は「来年(の
天皇賞・春)に向けての経験値を積めれば。何でこれ(格上挑戦)で出てくるのか、という参戦ではないし、爪痕を残したい」と虎視眈々。以前から所有馬の多くを預けてきたオーナー(=石川秀守氏)とのコンビで“大きなところをとりたいね”と話してきたという。その夢に向けても意義のある挑戦となりそうだ。
(美浦の若人羨望野郎・山口心平)
東京スポーツ