◆第149回
ケンタッキーダービー・米G1(5月7日、
チャーチルダウンズ・ダート2000メートル)
6日(日本時間7日)に行われる米競馬最大のレース、第149回
ケンタッキーダービー・G1(
チャーチルダウンズ競馬場・ダート2000メートル)に、日本馬が史上初めて2頭参戦予定だ。UAEダービーを制して臨む
デルマソトガケは、
音無秀孝調教師(68)の「平常心」を
ヤマタケデスクが「思う」。
驚くほどに気負いがない。その姿が頼もしかった。音無調教師は1990年代後半にセリで訪れて以来、実に四半世紀ぶりの渡米。しかも、世界中が「スポーツの中で最も偉大な2分間」と注目する大一番に
デルマソトガケで挑戦する。「特別な意識なんてないよ。僕も馬も初めて。馬の方が早く現地に入っているから知ってるんじゃないの(笑い)。一度乗ってもらっているし、ルメールさんにすべてを任せる形になるかな」。現役2位の949勝を誇る名トレーナーは悠然と構えていた。
前走のUAEダービーは後続に5馬身半差の圧勝。日本では2勝目、3勝目を接戦で制した姿がうそのように一変した。「日本の砂ではなく、ドバイの(土に近い)ダートが合っていたと思う。そして、アメリカはドバイに似ているという。その点は楽しみですね」。勝ち時計の1分55秒81は当条件になった15年以降で2番目に速く、このレースの勝利から同じく
ケンタッキーダービーへ転戦した昨年の
クラウンプライドより約4秒も速い。期待が高まるのも当然だ。
音無師は25年2月末で定年引退となる。残り少なくなった時間の中での大きな挑戦。「(
ケンタッキーダービーは)初めてだけど、調教師人生で1回だけのチャンスだと思う。何回もチャンスはないんです」。その言葉に頭をよぎったのは17年の
日本ダービー。1番人気の
アドミラブルを送り出すも、祭典の雰囲気にのまれるようにスローペースで動けず、猛追するも3着に敗れた。「大きなチャンスだった。勝てると思っていたけど…」
様々な経験を積んできたからこそ、たどり着いた平常心。ただ、今回は
デルマソトガケへの厚い信頼があるからこそだと感じる。「自然体で行ければね」。無欲の挑戦で本場の分厚い壁を乗り越え、チャンスをつかんでほしい。(山本 武志)
スポーツ報知