5月7日(日)に東京競馬場で行われる
NHKマイルカップ(3歳牡牝・GI・芝1600m)。昨年も18番人気の
カワキタレブリーが3着に好走したが、07年の当レースは歴史に残る大波乱となった。
主役となった
ピンクカメオは、
父フレンチデピュティ、
母シルバーレーン、母の
父Silver Hawkという血統の牝馬。半兄にGI2勝の
ブラックホークがいる。
そして、もう1頭の立役者となった
ムラマサノヨートーは、
父キングヘイロー、
母フェステロマーネ、母の
父ヘクタープロテクターという血統の牡馬。この2頭の大激走によって、当時の重賞最高配当記録となる“3連単・973万9870円”という超高配当が飛び出した。
■混戦模様断つ斬れ味
何の因果か、2頭は新馬戦でも対決している。06年7月の福島芝1200m戦。結果は
ピンクカメオが勝利し、そこから5馬身強離れた4着に入ったのが
ムラマサノヨートーだった。よくある新馬戦の一つ。後に2頭が大仕事をやってのけることなど、知る由もない。
2頭は別々の道を歩いた。
ピンクカメオは芝の短距離戦で勝ち星を重ねたが、直前の
桜花賞では
ダイワスカーレットから約2秒離れた14着。一方の
ムラマサノヨートーにあっては、初勝利がダ1200mだったうえに、前哨戦のニュージーランドTで14着に敗れていた。2頭とも目立った実績は皆無。人気を集める要素には乏しかった。
07年の
NHKマイルCを一言で表せば大混戦模様。
ローレルゲレイロが1番人気に支持されたが5.5倍と割れ加減で、17番人気の
ピンクカメオさえも76.0倍。今思い返せば何が勝ってもおかしくない雰囲気ではあった。おまけに当日の朝から降り続いた雨で稍重発表ながら相当タフな馬場。混戦に拍車をかけていた。
レースは
マイネルレーニアと
オースミダイドウが引っ張り、
ローレルゲレイロが3番手という絶好位。“2頭”は付いていくので精一杯にも映ったが、力のいる馬場で半マイル46.2の流れは先行馬に厳しかったのかもしれない。直線に入ると様相が一変。横に広がっての追い比べとなる。
それでも一旦は
ローレルゲレイロが先頭。だが、その真後ろから追い込んできたのが
ムラマサノヨートーだった。一方の
ピンクカメオは残り300m地点でも18番手。流石に無理な位置取りに見えたが、大外から目の覚めるような末脚で各馬をとらえにかかる。
ゴール寸前、
ローレルゲレイロが何とか
ムラマサノヨートーを振り切った瞬間、外から全てを飲み込んだのが
ピンクカメオだった。当時は大井所属だった名手・
内田博幸騎手の剛腕に応えて差し切り勝ち。ファンは彼女の豪脚と、レース後のビジョンに映し出された「973万9870円」の文字に2度驚愕したのだった。