◆第28回
NHKマイルC・G1(5月7日、東京・芝1600メートル、稍重)
3歳マイル王を決める第28回
NHKマイルC・G1は7日、東京競馬場で行われ、9番人気の
シャンパンカラーが直線抜け出してG1初制覇。今年も3連単26万円超という波乱の決着となった。剛腕で勝利に導いた
内田博幸騎手(52)=美浦・フリー=は2007年以来2度目の制覇。
田中剛調教師は今年の初勝利がG1という待ちに待った1勝となった。
16年たっても剛腕に衰えはなかった。残り300メートル。内田は
シャンパンカラーにこん身の右ムチで合図。先頭へ並びかけると、続けて相棒にゲキ。追いすがる
オオバンブルマイを振り切ると、最後は全身で追った。「4角の手応えが良く、早めに抜け出すと良くないので周りを見ながら、ゴールをそのまま駆け抜けてくれと思って、追いました」。スタートで後手に回りながら冷静な手綱さばきで
ウンブライルの猛追を頭差しのいだ。
地方・大井に所属していた07年。今回と同じ雨に煙る府中で、17番人気の
ピンクカメオと初めて中央G1を手にした。以来2度目の制覇となった52歳は「(07年のことは)すごく昔のことに感じますが、改めて、このレースを勝てて、本当に幸せですし、
田中剛先生や関係者の皆さまに感謝したい」と喜びをかみしめた。
当時は安藤勝己元騎手(笠松)、小牧太(兵庫)、
岩田康誠(兵庫)らが地方から移籍し大活躍。自身も大井で3000勝以上を挙げ、移籍を迷っていたという。そのなかでつかんだG1タイトルを「勝ったことで気持ちが前に進むきっかけになった。後押ししてくれたレースと馬だった」と振り返ったことがある。G1制覇は18年
フェブラリーSを
ノンコノユメで制して以来、約5年3か月ぶり。「なかなか大きなレースに乗る機会もなかったので」と謙遜したが、思い入れのあるレースだけに表情も緩んだ。
シャンパンカラーはこれで東京マイル3戦負けなし。地方時代から合わせて34年目を迎えた大ベテランは「前走の調教の時に乗ってすごいバネだと驚いた」と素質を見抜き、ここ一番で全てを引き出した。管理する
田中剛調教師はこれがうれしい今年初勝利。ホッとした表情を浮かべ「厩舎が思っている以上に走ってくれています」と素直に喜んだ。今後に関しては「オーナーと相談して」と話すにとどめたが、飛躍の一歩を踏み出す勝利だったことは間違いない。(石行 佑介)
◆
シャンパンカラー 父
ドゥラメンテ、
母メモリアルライフ(父
レックレスアバンダン)。美浦・
田中剛厩舎所属の牡3歳。北海道千歳市・社台
ファームの生産。通算5戦3勝。総獲得賞金は1億6548万7000円。重賞初勝利。馬主は青山洋一氏。
スポーツ報知