5月14日(日)に行われる
ヴィクトリアマイル(4歳上牝・GI・芝1600m)。“荒れるGI”として知られるが、中でも2015年は歴史に残る大波乱となった。
5番人気の
ストレイトガールが
高松宮記念13着から巻き返してGI初制覇を飾り、2着には12番人気の
ケイアイエレガントが入線。そして18番人気で3着に入ったのが、今回スポットを当てる
ミナレットだ。
同馬は
父スズカマンボ、
母ノワゼット、母の
父ウォーニングという血統。父はGI馬だが、母は未勝利馬で目立った産駒もおらず、セールでは84万円という安値で落札された。だが、後に落札価格の20倍〜30倍という高配当を提供。歴史に名を刻むのだから競馬は面白い。
■稀代の穴馬×稀代の穴騎手×荒れるGI=?
本題に入る前に伝説の新馬戦と
江田照男騎手について触れておこう。
ミナレットはデビュー戦でも大記録の立役者となっている。12年8月4日の新潟5Rで初陣を迎えると、単勝121.9倍の伏兵評価を覆して勝利。連下にも人気薄を連れ、
JRA歴代最後記録となる3連単2983万2950円を提供した。そして
江田照男騎手といえば、98年
日経賞を355.7倍の
テンジンショウグンで制すなど重賞、平場問わず穴騎手として活躍。そして両者は15年のヴィクトリアMで初タッグを組んだ。
稀代の穴馬×稀代の穴騎手×荒れるGI……。今になって思えば何も起こらぬ訳がない。
ミナレットは直前の
福島牝馬Sで5着に健闘したが、2走前の
中山牝馬Sでは11着。さすがに18番人気という評価も致し方なかった。1番人気は
オークス馬
ヌーヴォレコルト、2番人気は中距離重賞で好走続く
ディアデラマドレ。2頭はマイル戦への対応が鍵とされていたが、能力の違いで対応可能だろうという声が多数を占めた。
だが、人気馬に対する戦前の不安は的中。スタートすると江田騎手が気合を付けて先手を奪い、後続を引き離して大逃げの形となる。11秒台の坦々としたラップでは後続も動けず、結果は典型的な前残りの競馬に。
直線で各馬が慌てて動いたが、時すでに遅く江田騎手の術中にハマっていた。人気2頭は後方で伸びを欠いて大敗したが、一方の
ミナレットは驚異の粘りで3着入線。GI史上最高2070万5810円の高配当を生み出し、再び歴史に名を刻んだのだった。