「
オークス・G1」(21日、東京)
圧倒的な強さを誇る
桜花賞馬が
オークスに参戦したとしても、他の馬にチャンスがないわけではない。
リバティアイランドが牝馬クラシック2冠を狙う23年も同様だ。2000年以降、人気が集中した
桜花賞馬の牙城を崩した樫の女王を4回に渡って振り返る。第2回は04年覇者
ダイワエルシエーロ。
◇ ◇
2004年の
オークスは
桜花賞を圧倒的な力で制した
ダンスインザムードのためにあるはずだった。1957年の
ミスオンワード以来、47年ぶりとなる無敗の牝馬クラシック2冠馬誕生へ。単勝は1・4倍。この1強ムードを覆したのが、6番人気の
ダイワエルシエーロだった。
7着だった前走の
桜花賞まで
デイリー杯クイーンC制覇を含めて4戦2勝。逃げ、差し、追い込み、差しとあらゆるパターンで戦ってきたが、大一番での選択は逃げだった。当時の鞍上で、現在は調教師に転身している福永師がこう振り返る。
「母が(短距離で活躍した)
ロンドンブリッジでしたから、距離の不安はありました。でも、それまでにソロっと行かせていた馬を逃がすと慎重になって意外に息が入る。それは一度しか通用しない技なんです。でも、そこに懸けました」
向正面で先頭を奪うと1000メートル通過は62秒ジャスト。絶妙なペースで迎えた直線では
スイープトウショウに詰め寄られたが、踏ん張った。「G1の舞台は試すべき場所ではない」。これは同師の持論。新馬戦から教え込んできたパートナーを信じて選んだ奇襲が鮮やかに決まった。
ダンスインザムードは4着に敗れた。馬体重は14キロ増。パドックでは大量の発汗を見せていた。重め残りだったのか、
テンションの高さが影響したのか。「競馬に絶対はない」がまたしても証明されたレースだった。
提供:デイリースポーツ