5月28日に東京競馬場で行われる
日本ダービー(3歳牡牝・GI・芝2400m)。
武豊騎手が
皐月賞3着の
ファントムシーフ(牡3、栗東・
西村真幸厩舎)とタッグを組み、ダービー7勝目を狙う。
日本競馬界の第一人者、
武豊騎手。ダービー初騎乗は2年目の88年で、
コスモアンバーと挑み24頭立ての16着だった。
武豊騎手は同年秋の
菊花賞でGI初制覇を飾ると、以降も次々に
ビッグタイトルを獲得。次第に競馬界のみならず、日本を代表するアスリートへ躍進していく。
だが、天才をもってしてもダービーを勝つのは簡単ではなかった。90年には2番人気に支持された
皐月賞馬
ハクタイセイとタッグを組んだが5着。93年には
ナリタタイシンで挑戦したが、
ウイニングチケットと
ビワハヤヒデに及ばす3着に敗れた。実に惜敗だったのが96年で、
ダンスインザダークに騎乗してクビ差の2着。ゴール直前で
フサイチコンコルドの強襲に屈し、涙を飲んだ。
運命が変わったのは97年秋、
スペシャルウィークとの出会いだった。同馬は新馬戦から
武豊騎手と勝ち星を重ね、98年のクラシックに参戦。
皐月賞は18番枠が響いて3着に敗れたが、ダービーでは1番人気に応えて5馬身差の圧勝。「夢をつかんだ
武豊!」の名フレーズを背に、10回目でダービージョッキーの称号を手にした。
しかし、我々が“
武豊”の“本当の凄さ”を知るのは、この後からだった。翌年には
アドマイヤベガで史上初の連覇。02年に
タニノギムレット、05年には
ディープインパクトで4勝目を挙げ「
武豊騎手×ディープ」は社会現象を巻き起こす。10年に落馬で大怪我を負って成績を落とすが、13年ダービーを
キズナで制し華麗に復活。さらに、22年には旧来の友人・松島正昭氏の愛馬
ドウデュースで勝利を飾り、6度も頂点に輝いたのである。
そして、初挑戦から35年を迎えた今年は7度目の頂点を目指す。2度目の連覇となれば、もちろん前人未踏の大偉業。騎乗する
ファントムシーフは
皐月賞で3着に入った実力馬だし、何より
武豊騎手がダービーの勝ち方を最もよく知っている。可能性は十分あるだろう。
日本競馬をけん引してきた名手が「第90回」の節目に再び名を刻むか。レジェンドの挑戦は続く――。