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【ダービー】横山武史騎手が激白 史上8頭目の無敗2冠が懸かる皐月賞馬ソールオリエンスへの思い

スポーツ報知
  • 2023年05月22日(月) 06時00分
◆第90回日本ダービー・G1(5月28日、東京競馬場・芝2400メートル)

 第90回日本ダービー・G1(28日、東京)は、競馬に携わるすべての関係者が憧れ、追い求める最高の舞台だ。史上8頭目の無敗2冠が懸かる皐月賞ソールオリエンスとのコンビで4度目の挑戦となる横山武史騎手(24)は2年前、同じく無敗の皐月賞エフフォーリアで鼻差2着に惜敗。忘れられない悔しさを胸に挑む思いを激白した。

 2020年生まれのサラブレッド7708頭で、一生に一度の大舞台に立てるのはわずか18頭。狭き門を無傷で突破した皐月賞ソールオリエンスと横山武が参戦する。21年のエフフォーリアとは頂にあと一歩だった。

 「今もまだ2年前のダービー(の映像)は見ていないです。プロとして、敗戦を糧にするために見返さなきゃいけないという人も多いと思うんですけど…。言葉では簡単に言えるかもしれないですけど、僕には精神的ダメージが大きすぎるので、あれだけは見られないですね」

 負けた悔しさは一生忘れられないという。敗戦の記憶が折に触れ、よみがえる。

 「さすがに頻度は減りましたけど、まだちょこちょこ思い出しますね。例えば眠いな、寝ようかなと思った時、急に走馬灯のように出てきたり。馬のことを考えていない普段の日常生活でも急に出てきますね。頭に強く焼き付いているのだと思います。今後、ダービーを勝つことがあっても、『あの時の悔しさが晴れました!』とはならないですね。やっぱりエフフォーリアと勝ちたかったから」

 敗戦後、秋には天皇賞、有馬記念を制し、年度代表馬にも輝いたが、苦楽をともにした存在はそれほどまでに大きかった。

 「今後、どんな素晴らしい馬に巡り合っても、エフフォーリアが特別なことに変わりはないです。僕の軸をつくってくれたのは間違いなくこの馬。この馬なくして今の僕はないし、今後もないと思います」

 今年のパートナーはソールオリエンス。前走の皐月賞は直線一気に突き抜ける圧巻のレースだった。

 「いやー、もう本当に、みなさんも驚いたと思うんですけど、僕が一番ビックリでした。4コーナーでは膨れてしまいましたし、バランスもまだまだですし、正直(馬群を)全部のみ込める感じがなくて。直線ではちょっとどうかなと思っていたんですけど、ラスト200メートルくらいからもう一段階ギアが上がって、まだここから上がるかと」

 今までになかった感覚だったという。

 「そうですね。初めてのタイプかもしれないですね。ポテンシャルは高いんですけど、乗り味だけだったらエフフォーリアタイトルホルダーだったり、キラーアビリティウンブライル、1回しか乗ったことないですけどスターズオンアースの方【注】が背中はいいです。でも、競馬に行ったら素晴らしいんですよ。調教では見せない、競馬でしか見せない部分ですね」

 成長途上と指摘していた1冠目を勝ったが、今も大きな伸びしろを感じている。

 「まだ全然、完成途上ですね。それは皐月賞に乗っても考えは変わらないです。完成は秋以降、いや秋でもちょっと間に合わないかな。古馬になってからかなと思います」

 一番の長所に『真面目さ』を挙げた。

 「操縦がしやすい真面目さですかね。控えたり我慢させたい時に対応してくれますし、ゴーサインを出したらスッと反応してくれます。コントロールしづらいと、その馬本来の力を発揮できなくなってしまうので。操縦しやすいというのは大事なことだと思います」

 舞台は東京の芝2400メートルに移るが、むしろ歓迎する。

 「距離は何の不安もないです。個人的には東京の方がいいのではとイメージしています。中山は早めに踏んでいくしかなくて、そこでバランスが遠心力に耐えきれなくなっているところがあったので。東京は直線が長いので中山より抱えて回っていざ追い出すというのができるかなと思っています」

 競馬一家に育ち、幼少期から特別な舞台と意識してきた。4度目になる頂上決戦が28日に迫る。

 「その(過去3度のダービー)経験と、これまでいろんな馬に乗せてもらった経験を、どれだけ僕が最大限発揮できるかだと思っています。『無事是名馬』という言葉があるように、人馬ともにけがなく。より一層気を抜かずに本番を迎えたいですね」(取材・構成 西山 智昭)

 【注】エフフォーリアとはダービー敗戦後に天皇賞・秋有馬記念を制し、年度代表馬に。タイトルホルダーは21年菊花賞キラーアビリティは同年ホープフルSで勝利に導いた。ウンブライルは今年のNHKマイルC2着、昨年の牝馬2冠スターズオンアースとは桜花賞前のクイーンC(2着)でコンビを組んだ。

 ◆21年ダービーVTR 横山武とのコンビで無傷4連勝、皐月賞馬のエフフォーリアは単勝1・7倍の圧倒的1番人気に支持された。序盤は好位のインに収まる。1000メートル通過60秒3のスローペースで少しかかる面も見せたが、何とか我慢して直線へ。残り300メートル付近で抜け出して、そのまま押し切るかと思われたが、外へよれ気味になったところに、福永(現調教師)が手綱を執るシャフリヤールに内から馬体を併され、最後は首の上げ下げで鼻差の2着に敗れた。

 ◆横山 武史(よこやま たけし)1998年12月22日、茨城県生まれ。24歳。17年3月に美浦・鈴木伸尋厩舎でデビュー。同年4月16日の福島9R(ヒルノサルバドール)で初勝利。JRA通算4353戦473勝。G1・6勝を含むJRA重賞16勝。横山典弘騎手(55)=美浦・フリー=の三男で、祖父は元騎手の横山富雄さん(故人)。兄・和生(30)=同=も騎手。

スポーツ報知

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