いよいよ90回目の
日本ダービー(28日=東京芝2400メートル)です。先週は1週前取材のために栗東トレセンへ。ダービー6勝の
武豊騎手の取材で印象的だったのは、「ダービーは厳しいレースになる」という言葉です。2020年に生産されたサラブレッド7708頭のトップを決める頂上決戦。どの陣営からも熱気がひしひしと伝わりました。
“厳しいレース”を想定して爪を研いでいるのが
皐月賞3着で今回、
武豊騎手と初コンビを組む
ファントムシーフ。追い日だけでなく週末にも併せ馬を敢行して刺激を与える、周りに馬がいる中でもハッキングするなど、周囲に動じず自分の走りを貫けるように調整されています。梛木助手は「みんなが勝ちたいレース。全馬きっちり仕上げてくると思いますし、レースではいろんなプレッシャーがかかるはず。そんな中でも周りに左右されず、自分の
バランスで走れるようにという意図でやっています。自分の競馬ができれば、一番強いと思っているので」と力を込めます。
早い頃から大舞台を意識していた素質馬。同助手は「デビュー前の追い切りから、あそこまで動ける馬っているんだと思うくらい動いていました。跳びを見ても長い距離向きだなって。後付けみたいになってしまうかもしれないですけど、当時からダービーを意識していました」と振り返ります。
デビュー前から騎乗してきた梛木助手ですが、実は初重賞Vの
共同通信杯はケガのため不在でした。「
共同通信杯の時は骨折していたんです。先輩が代わりに乗ってくれてバトンをつないでくれました。なおさら
皐月賞で結果を出せず申し訳ない気持ちでした。悔しかったですね。でも、相手が上手でしたし、トラブルもありました」。前走
皐月賞3着は向正面で落鉄。2戦2勝の左回りでの逆転を虎視眈々と狙っています。
「勝つためにやっていますから」。“テン乗りは勝てない”のジンクスにも「ダービーを知り尽くしているジョッキー。心強いです」と同助手が言えば、
武豊騎手も「昨年だってダービーを6勝もできるわけないって、みんな言っていたでしょ? 」と気にするそぶりは皆無。1954年
ゴールデンウエーブ以来、69年ぶりのテン乗りVへ。厳しいレースに対応する準備はできています。
(美浦のジンクス破り記者・三嶋まりえ)
東京スポーツ