朝日に照らされた
ソールオリエンス。鹿毛でありながら金色に輝いたその馬体は神秘的でさえあった。「ダービーに向けて上積みしかない」。前走後の手塚師の言葉通り、無敗の
皐月賞馬は進化して戻ってきた。
最終追いは横山武を背にWコースで併せ馬。
ベストフィーリング(4歳3勝クラス)を3馬身先行させ、道中は折り合いに専念。引っ張り通しの手応えで並びかけると直線半ばで早々に1馬身前に出た。追えばどこまで伸びただろうか。手綱を抑えたままラスト1F11秒3。全体時計5F68秒0は予定していた時計とコンマ1秒のズレもなかった。「時計も動きも息遣いも良かった。考えていた通りの稽古ができた」と手塚師。完璧だ。
皐月賞後は山元トレセンで2週間の短期放牧。つかの間の息抜きが効果的だったようで、
リラックスした状態での帰厩がかなった。「とてもいいコンディションで戻ってきたので強い調教は必要なかった。稽古では思った通りの動きを見せてくれているし、申し分ない出来。現時点で不安な点はない」
状態、戦績ともに文句なし。ケチをつけるならば高速時計で決着したレースの経験がないことだが、指揮官はその心配を力強く打ち消した。「
皐月賞で道悪でも走れることは証明したが、理想は良馬場だと思っている。(週末が晴れ予報なのは)不安よりはうれしさの方が強い」。22年前に無敗2冠を達成した
トウカイテイオーをほうふつさせる、柔らかくバネ感がある繋(つなぎ)から繰り出される究極の瞬発力は、快晴のチャンピオンコースでこそ生きる算段だ。
混戦と評された
皐月賞から一転、1強ムードで迎える頂上決戦。「上積みしかない」6週間を無事に過ごした無敗の
皐月賞馬に、付け入る隙はない。
《横山武に聞く》
――追い切りの感触は。
「先週と同様に馬の後ろで我慢して、しまいは少し伸ばすという指示でした。思ったより早く前に出たが、動きは凄く良かった」
――2週続けて騎乗。
「ちょっとハミを取り過ぎていた先週より
リラックスできていました。状態がもう一段階上がった印象」
――東京コースは新馬戦以来。コンビを組んでからは初めて。
「直線が長い分、コーナーでゆったり乗れるので合うと思っています」
――
エフフォーリアと挑んだ2年前は10センチ差の2着。
「2年前と同じで勝ちたい一心です。勝ちたいです」
――自身にとってダービーとはどのようなレースか。
「一番勝ちたいレースです」
――意気込みを。
「
ソールオリエンスは本当に素晴らしい馬。皆さまの応援が力になりますし、その声援に応えられるように頑張りたい」
スポニチ