◆
日本ダービー追い切り(5月24日・美浦トレセン)
歴史的快挙に手をかけた。そう思わせるには十分な内容だった。
スキルヴィングの追い切りは美浦・Wコースで3頭併せ。隊列の2番手をリズム良く追走し、真ん中に入った直線は高い集中力を見せつけて6ハロン84秒8―11秒2で、内
カーペンタリア(4歳3勝クラス)、外
マローディープ(3歳未勝利)と併入した。
派手なパフォーマンスではない。ただ、中3週でも2頭併せだった先週に続き、確かな負荷をかけたことが大きな強調材料だ。木村調教師は「先週においても、今朝においてもスペース(余力)のある状態だったのでスタッフと話してやりました」と意図を説明した。
過去に
青葉賞を勝った馬が本番を制したことはないが、この余力こそが「勝てない」のジンクス打破のカギになる。先日、
シンボリクリスエス、
ゼンノロブロイで同じ
青葉賞から本番の臨戦で2着と涙をのんだ藤沢和元調教師に連絡したという。その中で「余力を持ってレースを迎えようとしているのは分かる。自信を持って大丈夫」と伝えられた。その言葉を
皐月賞組と戦う勇気に変えたことは容易に推測がつく。
木村師は
イクイノックスで挑戦した昨年が2着。「一生背負っていくもの」と口にするほど悔しさにまみれた。あれから1年。同じ
キタサンブラックを父に持ち、前走の
青葉賞で3連勝を達成した逸材と、再び祭典の舞台へ戻ってきた。「へこたれないで春を迎えられているのが頼もしい」。歴史を変えるだけの下地は整ったとみる。(松末 守司)
スポーツ報知