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日本ダービー追い切り(5月24日、栗東トレセン)
第90回
日本ダービー(28日、東京)の追い切りが24日、東西トレセンで行われた。
皐月賞3着の
ファントムシーフは3週連続の追い切り騎乗で、さらに手応えを深めた
武豊騎手(54)=栗東・フリー=を水納愛美記者が「見た」。きょう25日に出走馬が確定、枠順が決定する。
今もはっきり耳に残っている。「勝つんちゃうかな」。追い切りが終わり、取材もひと息ついた頃、
武豊がぼそっとつぶやいた。何げなく発したのかもしれない。ただ、ダービー6勝ジョッキーが言うのだから重みが違う。
手応えの根拠は、相棒
ファントムシーフの完璧な仕上がりだ。初コンタクトを取った2週前はまだ立ち上げの途中。先週は併せ馬でびっしり負荷をかけた。そして今週が最終調整。「思い通りにきている。すごくうまくいった」。その口調に、自信がみなぎっていた。
最終追いは3週間の成果がはっきり表れた。栗東・CWコースで予想以上にゆったりと走り始めたが、直線の走りが真骨頂だった。
武豊が手綱を動かさなくても、意志を読み取ったかのように馬が自ら加速。全身の筋肉をフル稼働させた伸び脚に目を奪われた。
「自分から動いたように見えましたが…」と切り出すと、名手の感覚も同じだった。「何もしなくても(動いた)。追い切りを分かっている」。残り5ハロン、4ハロン、3ハロン…と進むにつれて、馬自身がペースをつくれるのだという。そんな馬、並みの馬でないのは確かだ。
話を聞きながら、1年前のことを思い出した。
ドウデュースを「風格が古馬みたいになった」と評していたのだ。今年のパートナーは「関西馬のエースやもんね。何も不安材料はない」。どこか通じる部分を感じる。「楽しみやわ」。その表情は
ファントムシーフと挑むダービーへの希望に満ちていた。(水納 愛美)
スポーツ報知