日本ダービーが終わって、今週からはクラスが再編成。POGも代替わりを迎える。
新たに始まる2歳新馬戦。近年は「早期デビューこそが翌年のクラシックを見据えた常とう戦略になりつつある」と記すことが多かったが、現3歳世代のデビューを振り返ると、2冠牝馬
リバティアイランドが7月30日の新潟(芝外1600メートル)と早い時期だったものの、
皐月賞馬
ソールオリエンス、ダービー馬
タスティエーラはそれぞれ秋が深まった11月13日、27日(ともに東京芝1800メートル)だったとなると、早期傾向に一定の歯止めがかかった? というよりは昨年のダービー馬
ドウデュースのデビューが9月5日の小倉(芝1800メートル)だったことなども含めると、時期や場所など、デビューに関しての「多様性を否定できない時代になった」とするほうが正解なのかも。
要は強い馬はどんな道を通っても頂点にたどり着く――。そんな思いを抱きながら、3回東京競馬開幕週のデビュー予定馬を吟味してみたい。
初日(6月3日)の芝1600メートルは
シュトラウス(牡=父
モーリス、
母ブルーメンブラット・武井)の走りに注目だ。5月4日の時点で南ウッド6ハロン82.5-11.7秒をマークしたほどの完成度で、仕上がりスピードという意味では美浦随一の存在だったはずが、レーンが騎乗した24日の南ウッド3頭併せでは最後方から3角過ぎには抑えが利かずに先頭に立ってしまい…。それでも最終的には5ハロン66.6-11.4秒でまとめたのだから素材の良さは間違いない。
「能力はめちゃくちゃあるんです。あとは気持ちのコントロールが課題。何もなければとても乗りやすいんですが、ちょっとしたことで気持ちが
マックスになってしまうんですよね。追い切りでジョッキーに折り合いを確認してもらったのですが、ちょっと(手綱を)押しただけで100%になってしまってノーコントロールに…」
武井調教師は苦笑いしつつ、そう説明しながらもこう言葉を続けた。
「レースではプレッシャーをかけずにリズム重視で乗ってもらうつもりです。今の2歳であれだけ体力のある馬はいない。調整がうまくいっていない部分は正直ありますが、それでも(新馬戦は)勝てると思います」
一方、2日目(4日)の芝1400メートルには同じく鞍上レーンで
バスターコール(牡=父
ルーラーシップ、
母デグラーティア・田村)がスタンバイ。こちらもゼッケン30番(
シュトラウスは26番)が示すように早い段階から調教を重ね、25日には南ウッド単走で5ハロン66.1-11.6秒を楽々マークと“初戦勝ち”に当確ランプがともる動きを披露。田村厩舎&サンデーレーシングの早期デビュー馬ということで、早くも“
メジャーエンブレムの再来”とうわさされるレベルに至った次第である。
「まだ教えることも多いし、コントロール性を高めている段階。それでも、ものすごく光るところを見せてくれる。併せ馬をしたらどれくらいの(速い)時計が出てしまうのか、分からないくらいですね。現時点での心肺機能の高さは2歳馬としては頭一つ、いや二つは抜けています」(田村調教師)
そして同じく2日目の芝1600メートル(牝)はルメール=
チェルヴィニア(父
ハービンジャー、
母チェッキーノ・木村)とレーン=
ボンドガール(
父ダイワメジャー、
母コーステッド・手塚)の良血2頭の実力が拮抗ムード。まさに開幕週から楽しみしかない2歳新馬戦がいよいよスタートする。
(立川敬太)
東京スポーツ