4月1日付けで騎手免許を取得した兵庫競馬所属の
山本屋太三(やまもとや・たいぞう)騎手(17)=西脇・
坂本和也厩舎所属=が、デビュー約2か月で8勝の好スタート。
地方競馬では関西で唯一のルーキーが先輩たちにもまれつつ、確かな輝きを放っている。
4月13日にデビュー。12戦目となった同18日の園田競馬7Rで念願の初勝利を果たした。5月25日の丹波篠山茶特別では、メイン初勝利を挙げるなど、着実に成長を続けている。「得意のスタートを生かして、逃げ切りができている」と冷静な自己分析の中にも、手応えを感じている。
当然、課題も多い。15日の1Rでは発走前に落馬。キャリアの浅さをのぞかせる場面もあった。「追い出すとすぐに息切れをしてしまう」と体力面にも改善の余地はある。しかし、視線はしっかりと前を向く。「(師匠の坂本調教師には)まずはスタートに集中する。逃げることを覚えてから、追い込むタイミングを養っていけばいいと言われている」と焦らず、着実に
ステップアップするつもりだ。
すべてが騎手への道につながっていた。生まれも育ちも神奈川県・川崎市。小学3年時の乗馬体験がきっかけで、将来の夢が定まった。それからは乗馬クラブはもちろん、体幹を鍛えるために体操、脚力をつけるためにサッカー、手先の感覚を鍛えるために
ボルダリング、腕力を高めるためにテニス、瞬発力をつけるために
バドミントン…。夢を現実へと変えるため、様々なスポーツに打ち込んだ。
2021年に
地方競馬教養センターに入学。地元にある川崎競馬への所属も当然、選択肢にはあった。しかし、園田競馬主催者の熱い誘いにひかれ、縁もゆかりもない関西の地に足を踏み入れた。現在は一人前の騎手を目指し毎週レースに臨みながら、休日返上で厩舎での作業にも明け暮れる。
当面の目標は見習い騎手卒業の目安となる100勝。いずれは兵庫競馬で最も伝統のある大一番、重賞の
園田金盃制覇も思い描く。そのためにも大切にしているのは「誰よりも前にいくという気持ち」。弱肉強食のジョッキーの世界で生き抜く覚悟を決めた17歳は、一つまた一つと階段を駆け上がっていく。(直川 響)
◆山本屋大三(やまもとや たいぞう)2005年12月6日、神奈川県川崎市生まれ。17歳。
地方競馬教養センターに第104期生として入学。2023年3月卒業。同年4月13日デビュー。通算成績は116戦8勝。159センチ、48キロ。
スポーツ報知