6月25日(日)に阪神競馬場で行われる
宝塚記念(3歳上・GI・芝2200m)。今回は過去の名勝負、名馬の中から97年覇者
マーベラスサンデーのことを振り返ってみたい。
マーベラスサンデーは
父サンデーサイレンス、
母モミジダンサー、母の
父ヴァイスリーガルという血統。叔母に86年の
クイーンS覇者にして同年の
エリザベス女王杯で3着に入った
モミジシルキーがいる。
本馬の現役時代は怪我、そして挫折の繰り返しだった。初陣は95年2月、京都競馬場で行われたダ1800m戦。評判通り1.3/4馬身差で快勝し、続く
ゆきやなぎ賞も距離延長と初の芝を克服して連勝する。だが、ここで骨折が判明。クラシックを棒に振ってしまう。
1年後の復帰戦こそ4着に敗れたが、96年5月の
鴨川特別から快進撃はスタート。準OPの
桶狭間Sもあっさり勝利してOP入りを果たすと、続く
エプソムCで重賞初制覇を果たす。さらに、同年秋の
京都大賞典まで重賞4連勝。一気に期待の一頭へと上り詰める。
ところが、その先に待っていたのは挫折だった。
天皇賞(秋)4着、
有馬記念2着。GII
大阪杯は快勝したが、
天皇賞(春)では3着に敗れた。GII、GIIIなら力が違うが、GIではあと一歩足りない……。一つ上の
サクラローレル、同世代の
マヤノトップガンや後輩の
バブルガムフェローの後塵を拝し、GIの頂に届かずいた。そんな折、挑んだのが97年の
宝塚記念だ。
■負けられない戦い
前走の
天皇賞(春)で先着許した2頭が不在とあって1番人気。4度目のGI、重賞5勝の実績と、何をとっても負けられない一戦だった。12頭立てで人気は上位3頭に集中。
安田記念馬
タイキブリザードと、前年に
天皇賞(秋)を制した
バブルガムフェローと合わせ三つ巴の様相だった。
レースは、3強がそれぞれのポジションに収まり、持ち味を生かす展開に。
タイキブリザードが2番手、
バブルガムフェローが中団の内目、
マーベラスサンデーは後方から3番手で追い込みにかける。
1000m通過は58.2とハイペース。
タイキブリザードが押し出されるように3角手前で先頭に立ち、
バブルガムフェローも差を詰めにかかる。速いペースは追い込み一手の
マーベラスサンデーにおあつらえ向きの展開。ついにチャンスが巡ってきたか、馬群を縫うように差を詰めていく。
しかし、直線で
マーベラスサンデーの前に道はなかった。バブルとタイキ、そして外からきた
ダンスパートナーに行く手阻まれ前が壁。阪神内回りの直線は短い。万事休すか――。だが、残り200mで外がひらくと、デビューから一貫して鞍上を務めた
武豊騎手がしゃにむに追って一気に差を詰める。「バブルか!
マーベラスか!」最後は2頭になった叩き合いをわずかに制した
マーベラスサンデー。度重なる故障、そして悔し涙の先につかんだ栄光だった。