先週は新種牡馬
スワーヴリチャードの産駒、
ヴェロキラプトル(栗東・
高野友和厩舎)が東京芝1800mで新馬勝ち。
スワーヴリチャードが現役時に東京芝1800mの
共同通信杯を勝ち、重賞初制覇を果たしたことを思えば、産駒の初勝利がこの舞台も納得。
今週から福島、中京の開催がスタートするが、引き続き新種牡馬の産駒が続々とデビューしていくので、どの種牡馬が勝ち上がり、どんな舞台で結果を残すのか。非常に興味深いところだろう。
【7月1日(土) 中京芝1200m】
◆
エクストラバック(牡、父
Iffraaj、
母Extra Mile、栗東・
西園正都厩舎)
日本で活躍する
Iffraaj産駒は少ないが、世界的にはモイグレアスタッドSを勝った
Rizeenaやジャックマロワ賞を勝った
RibchesterなどのG1ホースがいる。距離に関しては、マイルよりも短いところを中心に活躍している馬が多い。
本馬は6月1日にゲート試験を合格しているが、この時のセンスが抜群。さすがこの距離で楽しみな馬といった感じ。追い切りはCW中心だが、週を追うごとに時計を詰めていて、6月15日に6F80.6秒をマーク。少し内を回ったとはいえ、4F49.9秒も非常に速く、新馬の水準をはるかに上回る数字。6月21日もCW6F78.8秒をマークして、スピードに関しては文句なしといった印象がある。
◆
ノイヤーヘルト(牡、父
ニューイヤーズデイ、
母ザッハーマイン、栗東・
中竹和也厩舎)
新種牡馬
ニューイヤーズデイの産駒。先週までの時点で勝ち馬は出ていないが、この馬が父の一番星となるか。きょうだいには
JRAダートで5勝を挙げた
マインシャッツ(
父ゴールドアリュール)がいる。
本馬は4月26日にゲート試験を合格。その後、グリーンウッドへ戻って、調整した後に栗東へ再入厩。6月9日から坂路で順調に時計を出しているが、その数字自体は大きく目立つものではない。ただ、
中竹和也厩舎の追い切りの時間帯を考えると、時計自体はあまり気にする必要はなく、週中と週末にしっかりと本数をこなせていることが大切。なお、デビュー戦は同日の中京ダート1400mと両睨み。
【7月2日(日) 中京芝1600m】
◆
ルージュスタニング(牝、父
Into Mischief、
母ボインビューティー、栗東・
友道康夫厩舎)
日本で活躍する
Into Mischief産駒にはダートで4勝を挙げる
イモータルスモークや、ダートと障害で計4勝を挙げる
ジゲン、3歳馬では先日の
ユニコーンSで5着だった
グレートサンドシーとダートでの活躍が目立つ。ただ、本馬に関しては「芝を使いたいと思わせる軽さとスピードがあります」と
友道康夫調教師。
本馬は4月20日にゲート試験を合格した後、一旦牧場へ戻って再調整。5月下旬に栗東へ戻ってくると、CWと坂路を併用して入念に乗り込まれている。6月21日はレースでも騎乗予定の
坂井瑠星騎手が跨って、3歳未勝利馬とCWでの併せ馬。6F82.8秒、ラスト1F11.5秒をマークして先着の動き。走りに関しては、追われるごとにしっかりしてきた印象がある。
【7月2日(日) 福島芝1200m】
◆
ビッグドリーム(牡、父
ビッグアーサー、
母アンナペレンナ、栗東・
西園正都厩舎)
ひとつ上の全兄に芝1200mで4勝、
葵Sでは3着だった
ビッグシーザーがいる。父
ビッグアーサーの産駒はス
プリント戦で素晴らしいパフォーマンスを発揮しているが、本馬もそういったタイプになりそう。
それを実感したのが、6月21日のCWでの追い切り。レースでも騎乗予定の
幸英明騎手が跨っていたが、6F標識を通過するところから14.3秒、13.5秒と速いラップを刻んでいく。通常なら最後の直線で止まるところだが、ラスト2Fは23.7秒。全体は6F78.5秒ととんでもなく速い時計になっており、スピードに関しては文句なし。まずは兄が果たせなかった新馬勝ちを目指す。
(取材・文:井内利彰)