GIII
函館2歳S(15日=函館芝1200メートル)は計6週間で争われる1、2回函館開催2歳戦の総決算と同時に、世代最初の2歳重賞でもある。距離1200メートルという設定上、クラシック戦線に結びつけるには少々、無理があるにしても…。まずは例年にはなかった“異物”に触れないわけにはいくまい。
近年、最も将来に向けた熱い視線が注がれる3回東京開幕週の新馬戦。該当する3鞍のうちのひとつ、芝1400メートルの覇者
バスターコールの
函館2歳Sエントリーだ。十数年来、夏場は函館開催の取材を担当してきたが、POGドラフトで人気を集め、なおかつハイレベルな東京開幕週で結果を出した“本格派”の参戦は過去にあまり記憶がない。そう、他馬とはデビューに至るまでの“次元の違い”を感じずにはいられないのだ。
函館入りした
バスターコールには厩舎所属で主に障害で活躍する五十嵐ジョッキーが調教担当として帯同。1週前追い切りでは単走馬なりで楽々とウッド5ハロン66.5-12.6秒の好時計をマークしてスケールの大きさをまざまざと見せつけた。障害のない函館には「初めて来ました」と笑う五十嵐は、同じく初めて函館に来た
バスターコールの現状を笑顔交じりにこう伝える。
「環境にも対応して、穏やかな雰囲気ですよ。並足で馬場入りできるようになって、操縦性も上がっていますね。美浦にいた時は元気良くハミをくわえて走っていましたが、こっちでは本当に
リラックスしています」
では大箱の東京1400メートルから一転、小回り平坦1200メートルへと舞台が替わることについては?
「初戦は1400メートルの外枠から力んでしまう苦しい競馬でも勝ち切ってくれましたからね。小回り、右回りは問題ないし、1200メートルも合うと思う。とにかく能力は高いので、それをうまく引き出してやりたい」
ジョッキーならではの初戦の見立てを含め、新コンビを組むルメールにいかにいい状態でバトンを渡すかに全力を注ぐ構えだ。
もちろん、東京デビューの本格派
バスターコールの壁は高かろうが、一方で函館取材を続けてきた身としては“地元デビュー組”に肩入れしたくもなるもので。その筆頭として1回函館開幕週の芝1200メートル新馬戦を制した
ロータスワンドを推したい。半兄姉に
ブランボヌール(2015年)、
ビアンフェ(19年)と2頭の
函館2歳S覇者がいるご当地血統で、しかも今年は「4年周期」と重なる23年。初戦快勝後もじっくりと在厩調整を続けた最大級の“地の利”で対抗する。
「函館の環境にすっかり慣れて順調にきていますね。1週前追いで乗ったジョッキー(藤岡佑)も“素軽くなってきた”と上積みを感じてくれています。落ち着いていて、
テンションは全然上がっていない。あとは直前にビシッと追って気持ちを乗せるだけですね」(担当の木野助手)
本格派か、あるいは地元密着派か。世代最初の重賞の結果を楽しみに待ちたい。
(立川敬太)
東京スポーツ