今年は距離が1200mから1000mに変わり、施行時期も早まったこの
リリーカップだが、全国
トップレベルの2歳牝馬による、ハイレベルな戦いであることに変わりはない。そしてまた例年通り、いやむしろ例年以上に、難解な重賞である。
ステップレースにあたるのが、6月21日に行われたウィナーズチャレンジ2競走。2着馬に1秒以上の差をつけてこれを逃げ切ったのが
ライトヴェールで、今回も出ていれば、「◎」がズラッと並んだはずである。予想が難しくなったのは、この馬の回避によるところが大きい。1000mの走破タイムで優劣がつかず、ダッシュ力とて、みな一様。根拠にできるものが少ないゆえ、前提として、どの馬にも勝機があると考えておくべきだろう。
分からないからといって匙を投げては始まらない。筆者は
モズミギカタアガリの巻き返しに期待した。1100mのデビュー戦は勝ち時計が平凡に映るが、この日は全体を通してタイムがかかっており、減点材料にはならない。1200mだった前走は道中の力みが祟って伸びを欠いた形。1000mは初めてだが、800mの能検では末脚が際立っていた馬であり、距離短縮でパフォーマンスを上げるタイプと見た。
混戦ゆえに、3頭いる1戦1勝馬の「底知れなさ」に賭けるという手もありだろう。
シシャモフレンドはス
トライド走法で、本質的に1000mは忙しい印象を受けるものの、初戦で刻んだラップには対応力が窺える。
ジュデシャンスは2歳牝馬重賞で高信頼度を誇る、角川厩舎の所属。馬体の維持は課題だが、スケールの大きさは一級品だ。
シトラルテミニに関しては、負かした馬が既に4頭も勝ち上がっているように、初戦のレベルの高さが評価の対象。今回の懸念材料は、内枠で揉まれた際の立ち回りである。
名前を挙げられなかった馬を含め、今回のメンバーの多くが、11月の
エーデルワイス賞に駒を進めるはずである。先回りして注目馬をピックアップしておくのも、楽しみ方のひとつだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)