1年ぶりに函館にやってきた。地元の人に聞くと例年より気温が高く、今年は“暑い夏”だそうだが、関東から訪れた身としては快適そのもの。同じ気温でも湿度が低いおかげか、ジメジメとしたイヤな暑さではないのだ。
当然ながらこの環境の良さは馬にも適している。多くのサラブレッドにとって北海道は、まさに生まれ故郷。読者の皆さんも“函館(札幌)の水が合う”的なコメントを目にしたことがあるだろう。
そして、ちょうど1年前に同じような書き出しから当コラムで注目したのが
ハヤヤッコ。函館入り後の体調アップを強調したのだが…その通りに本番でも大激走して1着。7番人気の低評価を覆してみせたのだ。
そんなわけで今年の
函館記念(16日=芝2000メートル)も
ハヤヤッコから目が離せない。火曜(11日)朝にさっそく厩舎を訪ねると、担当の田村亮平助手が笑顔で迎えてくれた。
「今年もイケるんじゃないかって? 確かに函館に来てからカイバをモリモリ食べて、馬は元気になりましたよ。元気が良すぎて少しイレ込み気味なんじゃないかな、という気もしますが(苦笑い)。もう7歳馬ですからね。これくらいの方がレースにつながるかもしれません」
一方で田村助手がポイントに挙げたのが斤量面。「昨年はハンデ57キロでしたが、今年は58.5キロ。1.5キロ増がどう出るか…」と気にしていたが、今年から
JRAでは全体的に斤量が増えているため、実質の斤量増は0.5キロに相当。1月のGII
日経新春杯で58.5キロを背負って0秒5差6着と健闘したことを考えると、得意の函館ならば問題ないだろう。
加えて魅力はやはり馬場状態。ただでさえ最終週の洋芝という
パワーを要する馬場コンディションは、ダート重賞勝ち馬でもある
ハヤヤッコに向くのは昨年が示す通り。函館の天気予報は水曜朝の時点で週末まで連日の傘マーク。昨年の極悪馬場になるかはともかく、水分を含んだタフな馬場になる可能性が高そうだ。
かつて05〜07年で3連覇を果たした
エリモハリアーを筆頭に、
クラフトマンシップ(00年1着、01年2着)、
マヤノライジン(06年3着、09年2着、11年2着)、
バイオスパーク(20年3着、21年3着)など何かとリピーターが活躍する
函館記念。昨年の勝利を最後に馬券圏内から遠ざかっている
ハヤヤッコだが、1年ぶりに白毛の馬体が北の大地で躍動するかもしれない。
(美浦の函館出張がリピーター野郎・藤井真俊)
東京スポーツ