◇推しの馬
競馬ファンの心を弄(もてあそ)ぶ令和のクセ馬!?人気薄で大駆けを繰り返す
メイショウシンタケだ。夏の新企画「推しの馬」は「第71回
中京記念」に出走する魅力的なダークホースを取り上げる。10番人気の低評価をあざ笑うように突き抜けた
米子Sでサマーマイルシリーズのトップに躍り出たが、恐らく今回も人気薄。トレーナーも手を焼く現役屈指の個性派は、時代の最先端を行く馬なのかも。
13頭立て10番人気。単勝配当9310円というド級の人気薄で
米子Sを制した
メイショウシンタケ。実はレース前日の栗東居残り取材で千田師から“甘いささやき”があった。
「この馬はいつ走るか分からないけど、人気がない時にこそ走る。オープンでもやれそうな雰囲気がある馬だよ」。印は▲。気配の良さは認識していたが、◎を打ち切れなかった自分の弱気が情けない。
この馬、初勝利が4番人気、2勝目が5番人気。3勝クラスを5番人気で勝ち上がっている。昇級戦の
六甲Sは見せ場なく9着に敗れたが、そこからの強烈な変わり身。千田師は言う。
「いつ走るか分からない。ほんと、ファンには申し訳ないですが、この馬は“今回いいですよ”ということがはっきり言えない。あの時計で勝ち上がるんだから能力はあるんだろうけど、相変わらずパドックも回れないし。たぶん競馬が嫌いなんだろう。ゲートも出ないしね」
管理するトレーナーも手を焼くムラ駆けタイプ。要は気持ちの問題。スタートを決めて集中力が途切れることなく直線に向かえば前走のような鬼脚が使える。
「走った時になんで走ったかの理由が分かればやりやすいが、それが分からない。走らない時に“なんで走らないんだ?”“なんでゲートを出ないか”が分からない」とかぶりを振る。すでに18戦を戦ってきたが、まだ把握できないという。
気持ちをいかに前に向けるか。調教師も腐心するところ。1週前追い切りは工夫が施された。厩舎の牝馬が誘導する形で馬場入り。「最近は(牝馬に対して)ブヒブヒ言うようになってきた(笑い)。去年はそれもなかったからね。その面では大人になってきたのかなと。普通は若い時の方が牝馬に興味あるんだけど」と千田師。男の部分が遅まきながら目覚めた!?
牝馬のリードで行われたCWコースでの追い切りは馬なりながら6F87秒9〜1F11秒5と活気ある動き。前走後は短期放牧に出され、リフレッシュ。「調教も楽しそうじゃない。こんな(走るのが嫌いな)タイプだから、攻め馬は2本で使った方が馬は元気かな」と徐々に調整パターンもつかめてきたようだ。
前走の
米子Sで初コンビを組んだ西村淳は「他馬に迷惑かけて申し訳ありませんでした」と真っ先に謝罪の言葉を発し頭を下げたが、内容は圧巻だった。4角9番手から馬群を断ち割る形で上がり2位の3F34秒3の末脚を繰り出し、突き抜けた。勝ち時計1分31秒7は優秀。重賞で即通用するレベル。穴をあけた馬を追いかけるのは「愚の骨頂」と言われるが、再度人気薄なら、積極的に狙うべし!!
☆新聞の読める馬 人気になって凡走し、人気薄の時に限って好走する馬は「新聞の読める馬」と言われる。古くは
カブトシロー。65年初重賞Vのカブトヤマ記念が7番人気。67年には8番人気で
天皇賞・秋、4番人気で
有馬記念を勝った。希代のクセ馬と呼ばれた
エリモジョージも12番人気で76年
天皇賞・春に優勝。人気を集めて凡走、人気薄での好走を繰り返した。
スポニチ