北海道シリーズの新馬戦は函館から札幌開催に移行してレベルが一気に上がってきた。とりわけ日曜(6日)の芝1800メートルは「必見の一戦」。その最大の理由は例年、夏の裏函で有力馬の“調教請負人”を務めていることで知られる荻野琢がズバ抜けた評価を下す馬が出走するからだ。
武豊とのコンビで臨む
ガイアメンテ(牡=父
ドゥラメンテ、
母ミュージカルロマンス・須貝)こそがそれ。須貝厩舎の北海道デビューといえば、古くは
ゴールドシップを筆頭に、
ソダシ、
ドルチェモアといった後のGIホースが名を連ねている通り、厩舎内においても力のある馬が集結する傾向にある。
母ミュージカルロマンスが米G1・2勝の名牝で、
JRAで登録された兄姉全4頭が勝ち鞍を挙げる血統的な裏付けを誇る
ガイアメンテもまた…。
先月27日に行われた函館ウッドでの併せ馬は3ハロン40.9-12.1秒としまい重点の内容ながら、騎乗した荻野琢の
ジャッジはというと絶賛、また絶賛であった。
「(素質は)AプラスかS(級)ってところでしょうか。めちゃくちゃいいですね。少なくとも今年の函館で乗った2歳の中では一番。3ハロンだけとはいえ、函館のウッドで追走して外を回るのは結構ハードなんですが、最後までブレずに走れていました。こちらの指示を待っている感じで、並足の一歩目からすごくいい雰囲気。芝に行ったらもっといいんじゃないでしょうか。とにかく現状では文句なしです」
北海道シリーズ開催中の荻野琢の多忙さ(=追い切りの騎乗数が半端なく多いこと)は現地で取材していれば誰もが知るところ。乗った2歳馬は数えるときりがないほどなのだから、その中で“一番”という言葉が持つ意味は限りなく大きい。
「栗東では坂路主体でしっかり乗り込んできました。特にしまい2ハロンの伸びが素晴らしいですね」
担当の山田助手の解説通り、函館入りする直前の先月19日の栗東坂路でラスト2ハロン24.4-11.9秒(全体4ハロンは52.6秒)をマークしただけでなく、その前週と週末にも24秒台をマーク。“2ハロンの伸び”のすごさは数字にも表れており、あとは函館の芝で予定されている2日の最終追い切りを待つのみだ。
器の大きさが衆目の知るところになってしまうのは馬券妙味を考えると複雑だが、
ガイアメンテが果たしてどれだけの走りをするのか、記者はすでにワクワクが止まらない。
(立川敬太)
東京スポーツ