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3冠馬コントレイルが育った6の字コース「大山ヒルズ」に潜入

スポーツ報知
  • 2023年08月02日(水) 07時00分
 20年の3冠馬コントレイルのほか、13年キズナ、14年ワンアンドオンリーとダービー馬3頭を生んだ大山ヒルズは、中国地方最高峰・大山の麓にある。取締役ディレクターの斉藤慎氏(50)は96年に入社し、03年に大山ヒルズに異動するまで、北海道新冠町のノースヒルズで勤務した。その経験から感じ取るのは、北海道に比べて温暖な地ならではのメリットだ。「ノースヒルズ本場では寒すぎるので、冬場の調教量が落ちます。筋肉も硬くなったり。毛づやも、こちらではいいと感じます」と強調する。

 スタッフは55人。出勤時間も退勤時間も全員同じだ。育成牧場は厩舎ごとに競わせるケースも多いが、大山ヒルズはオーナーブリーダー「ノースヒルズ」グループの一施設のため競い合う必要がない。「全員で全頭を見る」スタンスだ。キズナコントレイルも、デビューするまではほとんどのスタッフが乗っていた。斉藤氏は「やっぱりいい背中を知らないと上手にならないし、やりがいにつながります」と説明する。

 施設最大の特徴は調教コースで、全長800メートルの坂路を上ると、そのまま1周800メートルの平地ダートコースにつながる。牧場の坂路は上り切った先が壁になる形が一般的だが、大山ヒルズは数字の6を書くような形状で周回コースへと続くため、長く走り続けることができる。「止め際でスピードを落としたくないので。合計1200メートルぐらいキャンターで乗って、かなり負荷をかけているつもりです」と斉藤氏は胸を張る。

 トレセン近郊の育成牧場では、新馬戦を控える2歳馬がゲート試験に向けて初めて入厩するケースが大半だが、大山ヒルズの場合は1歳の8月ぐらいから早々とノースヒルズ清畠(北海道)から移動してくる。「早くから性格を把握できるのは大きい。母や祖母の性格も知っている馬が多いですから」。トレッドミル(ランニングマシン)は7台もあり、1歳から狭いところに入ることで「ゲートの馴致にも最高」だという。

 ノースヒルズは7月11日のセレクトセールで、コントレイル産駒の牡馬「コンヴィクション2の2023」を5億2000万円で競り落とした。史上3位の高額馬も、1年後には大山ヒルズに入ってくる。「手がけたコントレイルの子に携われて幸せ。どんな子が来るかとても楽しみです」と斉藤氏。次世代のスターホースを、全スタッフ一丸のワンチームでつくっていく。(玉木 宏征)

 ◆大山ヒルズ 03年3月開場。北海道・ノースヒルズで生産された馬の東西トレセン入厩前の育成のほか、デビュー後のレースとレースの間の調教も手がける中枢基地。2厩舎でスタートした馬房は今年1月の3厩舎増築で計12厩舎255馬房になった。オオバンブルマイなどを所有する岡浩二氏の馬や、栗東・中竹厩舎や清水久厩舎のノースヒルズ軍団以外の馬も多く預かる。坂路は高低差30メートル、傾斜4%。開場20周年の今年、事務所にはトレセンさながらの坂路モニターも設置された。鳥取県西伯郡伯耆町真野693の1。

スポーツ報知

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