◆第15回
レパードS・G3(8月6日、新潟競馬場・ダート1800メートル)
第15回
レパードS(6日、新潟)では、
エクロジャイトに騎乗する
北村友一騎手(36)=栗東・フリー=が約2年半ぶりの重賞制覇に挑む。19、20年にG15勝を挙げたが、21年の落馬で大けがを負い、昨年6月の復帰後は
JRA重賞で32連敗中。今夏は函館に長期滞在して不振脱出を図る。
北村友は今、北の港町で競馬漬けの生活を送っている。毎夏、函館開催が終わると次の開催地・札幌に滞在拠点を移す騎手が大半を占めるなか、調教施設として使われる函館競馬場、通称「裏ハコ」で火曜日から金曜日まで調教をつける。以前は函館終了後は栗東に戻っていたが、今年は15年ぶりに札幌までフル参戦。毎週水曜は約10頭の追い切りにまたがるなど、家族とも離れて仕事に専念する。「調教にたくさん乗って、もっともっと感覚を深めたいと思いました。馬乗りとして充実した時間を過ごさせてもらってます」。札幌と往復する航空運賃も自腹だ。
21年5月に阪神で落馬。背骨が8本折れる大けがを負った。昨年6月に約1年1か月ぶりに復帰したが、思うような成績は残せていない。真夏にもかかわらず日中は函館競馬場を走り、ギリギリまで肉体も追い込んでいる。「自分の体を良くして、函館で突きつめたい。一つでも勝って、コツコツと勝ち星を積み重ねていけたら」と、並々ならぬ決意をにじませる。
負傷前には重賞27勝を積み重ねたが、タイトルは21年2月の
阪急杯(
レシステンシア)が最後。今夏初めて向かう新潟の
レパードSはリステッド勝ちがある2頭の一角、
エクロジャイトとのコンビでおのずと期待は高まるが、「いい競馬ができれば。その中で勝てれば言うことないです」と焦りは見せない。
同馬を管理する安田隆厩舎からは復帰後、62回もの騎乗依頼を受けてきた。27回の田中克厩舎を引き離し、断トツの依頼数だ。「数を乗せてもらっていますし、先生も来年で定年。やっぱり安田隆厩舎で勝ちたい思いは強いです。(
エクロジャイトは)もまれなければハナにはこだわりません。長くいい脚を使うし、まだまだ伸びしろがありそう」。約2年半ぶりの重賞Vは復活の号砲であると同時に、恩返しの白星でもある。(玉木 宏征)
スポーツ報知