札幌開催はすでに後半戦に突入。2歳新馬戦もいよいよ佳境に入ってきた。とりわけ日曜(20日)の芝2000メートルは2020年に
エフフォーリアがデビュー勝ちを決めた番組。来春のクラシックをにぎわす馬が出現する可能性が大いにあるだけにチェックは怠れない。
そんな中、満を持してこの2回札幌2週目の芝2000メートルでデビューすることになりそうなのが
ウインマクシマム(牡=父
キタサンブラック、
母コスモアクセス・畠山)。牧場時代からめっぽう評価が高く、“ウインの一番馬”とまことしやかにささやかれていた素質馬は当初、3回東京最終週(芝1800メートル)を予定していたが…。納得できる態勢が整わなかったことから再放牧を挟み、函館競馬場入りして調整されてきた。
10日の追い切りにはコンビを組む松岡が札幌から駆けつけ、ウッドで古馬1勝クラスと併せ馬を敢行。追走態勢から追い比べで確かな伸び脚を繰り出して堂々の半馬身先着を果たしてみせた(5ハロン66.4-12.3秒)。
「まだ余裕があったし、その気になれば(5ハロン)62秒台とかも出てしまいそうな手応え。でもこれだけ暑いし、先を考えたらそんな時計を出してもマイナスになるだけですからね。思っていたよりも晩成の感じはするけど、能力はかなりのもの。現時点でも相当やれると思っていますよ」
手綱を取った松岡は5月に美浦に入厩した際と変わらない高評価を与えた。“松岡&ウイン”といえば、
ウインブライトに代表される実績十分のコンビ。そんな男の強気節は止まらない。
「相手関係はあまり気になりません。“来年のダービー馬”とかがいなければ、まず大丈夫でしょう(笑い)。現状での注文は何もないが、成長はゆっくりだと感じているので、札幌への輸送や環境の変化で体力がそがれないか。不安はそこだけですかね」
というわけで当初は松岡絶賛の
ウインマクシマムの単独記事にする予定だったのだが…。実はもう一人、函館の追い切り後に新馬を褒めちぎったジョッキーが現れた。土曜(19日)芝1500メートルで
ラヴスコール(牝=父
ドゥラメンテ、
母カレドニアレディ・加藤征)に騎乗する横山武である。
ウッドで2歳未勝利を追走して馬なりのまま2馬身先着(5ハロン67.0-13.0秒)。あまりの手応えの良さに「めちゃくちゃ走りますね。ゴール板を過ぎても止まりませんでしたから。普通、2歳だとスピードが落ちるんですが、また加速していく感じ。今年乗った2歳では一番の感触です」と目を輝かせていた。
ちなみにこの日は
シャフリヤールの1週前追い騎乗が函館入りの最たる目的だった。
ラヴスコールの追い切りはその少し前の開門一番(午前5時30分)に行われたが、厩舎スタッフによると騎乗する際はまだ“寝起き”といった感じだった横山武の表情が調教後は一変して興奮していたのだとか。
今週の札幌新馬戦2鞍は2人のジョッキーを“本気”にさせている2頭の素質馬の走りに注目してほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ