◆第58回
北九州記念・G3(8月20日、小倉・芝1200メートル、良)
酷暑の小倉を一陣の風が吹き抜けた。
ジャスパークローネが“王者”の力を誇示するかのように、堂々と先頭でゴール板を駆け抜けた。「
ジャスパークローネが一番速いと思っていた」。団野はパートナーのスピードを信じ抜き、重賞連勝へ導いた。
トップスタートからハナを主張した。前半2ハロン目から10秒4―10秒9の
ハイラップを刻み、前半3ハロンが32秒9と一般的にはハイペースだが、焦りはなかった。「ペースのことは気にせず、前回と同じように気分良く行かせた方が持ち味が生きる」。4角を回ったところで再び加速。2着と半馬身差とはいえ、危なげない逃げ切りだった。
森秀調教師は「これしか戦法がないから。単騎で行けると強い」と笑顔で愛馬をたたえた。前日の新潟3Rでは出走馬の取り違えで競走除外。34年ぶりの珍事で、過怠金50万円と重い処分を科せられた。まさに、汚名返上となる重賞制覇。先週の
小倉記念の
エヒトから2週連続で、夏コクの“主演”を送り出した。
サ
マースプリントシリーズでも2位に11ポイント差をつけ、王者へ大きく前進。「大丈夫なら
スプリンターズS(10月1日、中山)一本で行こうかな」とトレーナーは先を見据えた。函館、中京、小倉とローカルを転戦した充実の夏。着実に
パワーアップした
ジャスパークローネが、次はス
プリントの頂上決戦に挑む。(戸田 和彦)
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ジャスパークローネ 父フロステッド、母ファンシーキトゥン(父キトゥンズジョイ)。栗東・
森秀行厩舎所属の牡4歳。米国・マクマーホール&ゴドルフィンの生産。通算14戦6勝。総獲得賞金は1億4384万8000円。主な勝ち鞍は23年
CBC賞・G3。馬主は加藤和夫氏。
スポーツ報知