過去には
マイネルレコルト(2004年
朝日杯FS)、
セイウンワンダー(08年
朝日杯FS)といったのちのGI馬がこのレースを制し、13年には
ハープスター、
イスラボニータという未来のクラシックホースがワンツーフィニッシュを決めた。
世代最初のマイル重賞であり、舞台は新潟外回りコース。スケールの大きなレース条件ゆえに“登竜門”としての機能を果たしていた時期もあったが…。近年でのGI級の活躍を見せているのは21年覇者
セリフォス(22年
マイルCS)くらいで、13年の“伝説の
新潟2歳S”も来年には「過去10年のデータ」から消えてしまう。しかも昨年は連闘馬のワンツー決着。ある程度のスパンを取ってこのレースを狙ってきた組ではない馬たちによる上位独占はレースレベル低下の疑義も生じさせる。
そこにはさまざまな要因はあろうが、近年の酷暑も大きな足かせとなっているのでは。6〜7月の新馬を勝った馬がここを目指すには、8月の暑さの盛りの中での調整となる。最近は新潟でのレース出走を回避する陣営も出ており、特にいかに消耗を抑えつつ効率良くクラシックを目指すかが主流となっている現状ゆえに「この時期は無理させられない」という思いもあろう。
いずれにせよ、以前よりちょっとだけ?存在感が薄まっている
新潟2歳S(27日、新潟芝外1600メートル)。まだまだ続く残暑に負けない熱いレースを、そして大物誕生を期待したいところだ。
今年、その“大物候補”として期待したいのは
アスコリピチェーノだ。初戦の東京芝7ハロンは直線半ばまで馬群の中で追い出しを待たされたが、ラスト2ハロンすぎで追い出されると11秒6→11秒6のラップをアッサリ差し切り、しかも2馬身半突き抜けてみせた。「本来なら前めにつけて長く脚を使うイメージだったけど、逆に後ろから切れる脚を使えたのは意外でした」と黒岩調教師の予想をいい意味で裏切る、上々の勝ちっぷりだった。
さらに「“操縦性もいいし、新潟の外回りマイルも合いそう”とジョッキー(北村宏)に好感触をつかんでもらいました。1回使っての気持ちの高ぶりは心配だったけど、問題ないですね。
パワーアップして精神面も成長できています」。
舞台設定、中間の調整過程も何ら不安はなく、暮れのGI、そして来春につながる大きな1勝を手にしそうだ。
(美浦の越後の大物待望野郎・山口心平)
東京スポーツ