先週の当欄で紹介した
メリオーレム(栗東・
友道康夫厩舎)。新潟芝1800mでのデビューをお伝えしていたが、結果的には小倉芝2000mでデビューして3着だった。この番組変更は陣営が意図したものだったのか? 答えは「NO」である。
栗東所属馬が新潟競馬場でレースを使う際には前日までに競馬場に入厩している必要がある。その際に使用する出張馬房には限りがあり、馬房は出馬投票の前に割り当てられる。
この時、基本的にはクラス上位の馬から馬房が当たっていくため、先週の場合であれば、
関屋記念、
朱鷺S、
BSN賞といったオープンクラスが優先。よって、これらのレースに栗東所属馬が多いと、下級条件には馬房が回らなくなる。
そんな事情もあり、先週の新潟であったメイクデビュー4レースは、栗東所属馬が1頭しか出走していない。うち3レースは頭数割れしていたくらいなので、この出張馬房問題はなんとかならないものかと、事象が発生するたびに考えさせられる。
【9月2日(土) 小倉芝1200m】
◆
メイケイアリッサム(牝、父
ミッキーアイル、
母ラファダリ、栗東・
中竹和也厩舎)
半姉に未勝利、1勝クラスと連勝中の3歳牝馬
ラファドゥラ(父
ドゥラメンテ)がいる。本馬は2022年セレクトセール1歳にて、3000万円(税抜き)で落札されている。
本馬は8月4日にゲート試験を合格。その後も栗東に在厩して、坂路、ポリトラック、CWといった馬場を使いながら調整を進めている。時計的には少し地味な印象だが、
母ラファダリも前記した姉も勝ち上がるまでには時間を要しており、使っていった方がよい血統なのかも知れない。それでも、いい雰囲気を持っている馬だけに初戦から注目してみたい。
【9月2日(土) 新潟芝2000m】
◆
ヴェローチェエラ(牡、父
リアルスティール、
母イプスウィッチ、栗東・
須貝尚介厩舎)
2021年セレクトセール当歳にて、6000万円(税抜き)で落札された
リアルスティール産駒。半姉
オックスリップ(父
サトノダイヤモンド)は中山芝1800mの新馬戦を勝っている。先週の新潟芝1800mの予定がスライドしてここへ。
先週の坂路での追い切りは
新潟2歳Sに出走した
ヒヒーンとの併せ馬。
M.デムーロ騎手が跨って、相手を追走したが、手応えでは相手を圧倒した形でゴール。時計は4F53.8秒と地味だったが、促せば、いくらでも時計が出そうな素軽い走りをしている。8月17日のCWでは6F78.8秒をマークしているし、追い切り本数は十分すぎるくらいにこなしているだけに、あとは実戦を待つだけ。
【9月2日(土) 札幌芝1500m】
◆
ミスパープル(牝、父
サトノダイヤモンド、
母ショウナンワヒネ、栗東・
松永幹夫厩舎)
父
サトノダイヤモンドは初年度産駒から
京都新聞杯を勝った
サトノグランツ、阪神JFでGIで2着した
シンリョクカなど結果を出している。母系にはダートで4勝を挙げている
プリマジア(父
キンシャサノキセキ)がいる血統。
本馬は5月25日に栗東でゲート試験を合格。その後、リフレッシュ放牧へ出て、栗東へ再入厩。その後、函館競馬場へ移動して追い切りを進めている。8月22日の函館Wでは3歳未勝利に先行する併せ馬で先着。4F時計は52秒台と水準以上の数字が出ており、時計的な内容で言えば、追うごとに良くなっている印象を受ける。
【9月3日(日) 新潟芝1400m】
◆
ワールドシリーズ(牡、父
No Nay Never、
母エリーシエズワールド、栗東・
中内田充正厩舎)
日本で活躍する父、
No Nay Never産駒は
福島記念や
鳴尾記念を逃げ切りで重賞制覇の
ユニコーンライオンがいる。本馬の半弟である
Saxon Warrior産駒は2022年セレクトセール当歳にて、6800万円(税抜き)で落札されている。
6月29日にノーザン
ファームしがらきから栗東へ入厩。7月7日にゲート試験を合格して、その後は牧場へ戻って再調整。8月11日に栗東へ再入厩すると、18日に坂路で軽く時計を出して、24日にCWで追い切り。少し気持ちが前向きすぎるところもあるかと思われたが、そういったところもなく、最後の直線でも12.1秒から11.9秒に加速して、しっかり脚を使うことができていた。なお、鞍上は
川田将雅騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)