「キーンランドC・G3」(27日、札幌)
貫禄のV発進だ。1番人気の
ナムラクレアが、重馬場を物ともしない末脚を披露して差し切り勝ち。重賞4勝目で、大目標である
スプリンターズS(10月1日・中山)への優先出走権を手にした。2着は8番人気の
シナモンスティックで、3着が2番人気の
トウシンマカオだった。
悲願成就に向けて最高のスタートを切った。ゲートを五分に飛び出した
ナムラクレアは無理をせず中団。いつでも瞬時に動かせる外めの位置取りから、徐々にポジションを上げた。直線は思った以上に先行馬が踏ん張る形になったものの、最後は外からまとめて差し切って2着馬に1馬身差をつける完勝劇。浜中も「強かったと思います。休み明けでも厩舎が上手に仕上げてくれて、何の不安もなく挑めた」と感謝した。
この日の札幌競馬場は7R終了後、雷鳴がとどろき、豪雨に見舞われた。芝コースはあっという間に悪化。ただ、勝つときは全てがうまくいくもの。「馬場状態を思えば、かえって(14)番枠で良かった」とプラスに働いた。
5着に敗れた昨年の
スプリンターズSは、
函館スプリントS(1着)、
北九州記念(3着)と叩き3戦目で挑む形。今年は昨年と違って賞金面の不安がなく、勝って最高潮で大一番へ向かえる。「前哨戦としては自分的に疲れた」と胸をなで下ろした長谷川師は、「今年は段階を踏んで思い通りにやって来られた。本来は乾いた馬場の方がいいけど、非常に強い内容。陣営にとって大きな1勝です」と手応え十分の笑顔だ。
次が6度目のG1挑戦。師が「輸送でナーバスなところはあるけど、環境の変化に順応してお姉さんになってきた。精神力の強さが彼女のいいところ。この気持ちを切らさずに出走させたい」と本番を見据えれば、主戦も「何とか次はG1を、と思っています」と強い決意を示す。春の
高松宮記念は2着。充実一途の4歳牝馬が、今度こそ戦国ス
プリント界の頂点をつかむ。
提供:デイリースポーツ