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ファインモーション 天才少女は牧場の姉貴的存在に、24歳になっても毛ヅヤピカピカ

スポニチ
  • 2023年08月30日(水) 05時05分
 ◇田井秀一のあの名馬は今(4)

 あの馬は今――。東京本社の田井秀一記者(30)が、かつてターフを沸かせた引退名馬を訪ねる全4回の連載企画「田井秀一のあの名馬は今」。最終回は02年の秋華賞エリザベス女王杯を無敗で制した天才少女ファインモーションの今に迫る。北海道浦河町にある、けい養先の伏木田牧場を訪問した。

 山々に囲まれた自然豊かな伏木田牧場に、24歳になったファインモーションがいます。アイルランド生まれで、兄は97年ジャパンCを含め5カ国で計G16勝を挙げた歴史的名馬ピルサドスキー。彼女自身も02年の秋華賞エリザベス女王杯を楽勝し、武豊騎手が「ギューン!」と表現した圧倒的な加速力は当時のファンに衝撃を与えました。

 染色体異常のため繁殖牝馬にはなれませんでしたが、功労馬として第二の故郷で愛情を注がれて余生を送っています。その証拠に毛ヅヤはピッカピカ。名付け親でもある伏木田修さんは「牧場を立て直してくれた馬。一日でも長く生きてほしい」といとおしそうに首筋をなでます。「4年前に腰を痛めて危ない状況になりましたが乗り越えてくれて…。今は凄く体調がいい。年を取らないし、背中も垂れていません」。取材日には現役時代に担当した田中一征厩務員も来場。田中厩務員といえば、インタビュー中にエアグルーヴにベロベロなめられる動画が人気!?ですが、ファインも負けじと頬ずり。伏木田さんも「田中さんが来てくれて、普段より元気ですね」と笑っていました。

 おてんば娘のイメージが強いですが、実はかなりの寂しがり屋。放牧地に1頭で残すとパニックになるほどで、馬房の外では2歳上のピッコロプレイヤーと常に行動を共にしていました。その“お姉さん”は2年前にこの世を去ってしまいましたが、今ではファインが牧場の姉貴分的存在に。「引退して牧場に帰ってきた後輩たちの指南役として活躍してくれています」。特に同い年のウォーターエナンとは大の仲良しだそうです。

 4週にわたってお送りしてきた引退名馬連載は、生産馬のウォーターナビレラについて取材をお願いした伏木田さんに「牧場に来てみませんか?」と声をかけられたことが発端。素晴らしい経験にいざなっていただき、この場を借りて感謝申し上げます。メイショウドトウヒシミラクルグラスワンダー、そしてファインモーション。それぞれ異なる場所で、異なる形で愛され、天寿を全うしようとしています。1頭でも多くのサラブレッドに幸せな余生を――。まずは、あなたが大好きなあの馬から。本連載が、引退競走馬の“その後”に思いをはせるきっかけになっていれば幸甚です。 =終わり=

 ◆ファインモーション 父デインヒル 母ココット(母の父トロイ)99年1月27日生まれ 牝24歳 栗東・伊藤雄二厩舎所属 馬主・伏木田達男氏 生産者・愛国バロンズタウンスタッド&オーペンデール 戦績15戦8勝(重賞5勝) 総獲得賞金4億9451万8000円 田中厩務員によれば、性格は自由気ままな猫タイプ。いつも遊んでくれとせがむ犬タイプのエアグルーヴとは真逆。

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