「
小倉2歳S・G3」(3日、小倉)
夏コクを締めくくる2歳重賞。最後の最後に熱くしたのは、やはりこの血統だった。5番人気の
アスクワンタイムが直線大外から鋭く伸びて重賞初V。18年覇者の全兄
ファンタジストとの兄弟制覇を達成した。
行き脚がつかずに後方からとなったが、初戦から手綱を取る岩田望は織り込み済み。「差しが決まっていたので、ゆっくりとリズム良く行きました」と末脚勝負に専念。4角で大外へ持ち出すと「すごくいい反応でした。届くんじゃないかなと思った」と手応え通りに加速する。
最後は
ミルテンベルクとのたたき合い。調教師スタンドで見守った梅田師の「差せ、差せ」と熱の入った声援に応えるように、頭差先着した。トレーナーは「このきょうだいはいつも驚かせてくれる。小倉がよっぽど好きなんやろね」と笑顔でホッと息をついた。全姉の
ボンボヤージも22年の
北九州記念を勝っている小倉芝千二のスペシャリスト一族。血の力を見せつけた。
鞍上は「すごく乗りやすい馬で自在性がある。距離が延びても大丈夫だと思う」と期待を込める。兄と比較して「完成度でこの子はまだ足りない。体もメンタルもまだ幼いね」と指揮官は注文も忘れないが、ポテンシャルは相当だ。
兄は当レースを制すと、続く京王杯2歳SもV。年末の2歳G1にも歩を進めた。しかし、19年
京阪杯のレース中に急性心不全を発症し、3歳で非業の死を遂げた。厩舎が託した夢の続きは弟が紡いでいく。
提供:デイリースポーツ