今年こそ日本馬の悲願達成なるか。世界最高峰の芝G1・
凱旋門賞(10月1日・仏パリロンシャン、芝2400メートル)が1カ月後に迫っている。
ドウデュースや
タイトルホルダーの参戦で沸いた昨年と違い、今年は
イクイノックスのような横綱級が不在。ただ、
宝塚記念でその横綱に首差まで迫った
スルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関)が、単騎で世界の頂きに挑むのだから応援せざるを得ない。
2日時点で大手ブックメーカーのウィ
リアムヒルが設定している
スルーセブンシーズのオッズは、単勝17倍の6番人気タイ。重賞タイトルは23年中山牝馬Sのみと実績は劣るが、やはり世界No.1レーティングを保持する
イクイノックスを追い詰めた
宝塚記念の走りを評価されているのだろう。
並み居る欧州のトップ級を相手に勝機はあるのか-。個人的には“人気以上にやれる”と思っている。
19年
凱旋門賞を現地で取材した筆者がポイントに感じているのは“馬格”。当時、参戦した
キセキ(7着)
ブラストワンピース(11着)や
フィエールマン(12着)は、500キロ以上かそれに迫る馬格の持ち主だった。これらの馬たちはパリロンシャンの重い芝にノメってしまい、力を出せずに終わっている。ちなみに勝った
ヴァルトガイストは牡馬として小柄で、18年
香港ヴァーズに出走した際の馬体重はわずか419キロである。
過去に好走した日本馬を見ても、99年2着の
エルコンドルパサーは、最後に日本で出走した時の馬体重は472キロ。06年3位入線(その後失格)の
ディープインパクトは430〜440キロで、10年2着の
ナカヤマフェスタと12、13年2着の
オルフェーヴルも460キロ前後だった。2000年以降、500キロ以上で日本国内を走ったことのある馬は<0・0・0・16>と壊滅していることから、豊富な馬格は
凱旋門賞を走る上で“足かせ”の可能性があるとみている。
気になる
スルーセブンシーズは440キロ台で、馬格は合格点。血統を見ると母系はダート寄りだが、父はスタミナに富んだ
ドリームジャーニー。同父は前述の
オルフェーヴルの全兄にあたるのだから、欧州への馬場適性を秘めていても不思議はない。
今年も日本国内で馬券が発売される
凱旋門賞。歴史的偉業が達成される可能性は大いにあると思っているだけに、今から胸が高鳴っている。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ