「
セントウルS・G2」(10日、阪神)
この道49年。今月末で定年となり、約半世紀の厩務員人生に幕を下ろす池田康宏厩務員(65)。デビュー前から担当する
ホウオウアマゾンで、自身最後の重賞に挑む。
父は渡辺栄厩舎の厩務員だったが、中学に入るまでは競馬に興味はなかった。きっかけは2冠馬
タニノムーティエ&
タニノチカラの兄弟。「
ムーティエのカミソリの切れ味に魅了されてね。その弟チカラが朝日杯チャレンジCを勝った時(73年)、父のつながりで田島日出雄騎手が鞍を持たせてくれて。何て夢のある世界なんだと思わされた」。競馬に心を奪われた。
キャリアの最終盤に出会った
パンサラッサで悲願のG1初制覇。人柄と手腕で、今やトレセンを代表する名物厩務員だ。
ホウオウアマゾンは初の6F戦だが、「ブリンカーを着ければ効果は絶大だと思う」と秘策を持って臨む。
何の因果か、ラスト重賞は自身が小学5年まで過ごした仁川が舞台。「スランプから抜け出させて、いい形でバトンを渡したい。勝っても泣かんよ」。万感の思いをかみしめながら、ターフに送り出す。
提供:デイリースポーツ