秋の中山開幕を飾る
秋華賞トライアル・G2「第8回
紫苑S」が行われ、4番人気
モリアーナが剛脚を披露し重賞初制覇。
秋華賞(10月15日、京都)では、
リバティアイランドの牝馬3冠阻止に挑む。鞍上の
横山典弘(55)は最年長
JRA重賞V記録(これまでは21年
レパードS柴田善臣の55歳10日)を55歳6カ月18日に更新。なお、2着
ヒップホップソウル、3着
シランケドまでが本番への出走権を手にした。
これぞ横山典の超絶美技だ。前が有利な開幕週で内枠を手にした
モリアーナ。通常なら好位につけたいところだが、大ベテランの判断は違った。道中は16番手で折り合い専念。1000メートル通過58秒1というハイペースになることを見越していたかのように――。インから徐々に位置を上げていくが、それでも4角14番手。先頭とは12馬身ほども離れていた。
「あそこからじゃさすがに届かないと…」という武藤師の言葉通り。絶望的に見えたが、鞍上には一筋の光を見いだしていた。少し気合を入れると、
モリアーナは馬群の隙間を“瞬間移動”。その勢いのまま、抜け出していた
ヒップホップソウル(2着)もあっという間にのみ込んだ。涼しい顔をして最年長重賞Vを更新。先週の
札幌2歳Sで記録が残る中では史上初だった横山武との「重賞父子ワンツー」も、1着2着を入れ替えて何と2週連続で成し遂げた。
モリアーナは重賞5度目で初栄冠。武藤師は「ハラハラしたよ。秘めているものがあるのは分かっていたが…。坂を上がってからの脚は凄かったね。脚がたまればはじけることが証明できた」と興奮気味。トレーナーに11年ぶりの重賞Vをプレゼントした横山典は「休み明けで体の使い方がモタモタしていたけど、最後いい感じではじけてくれましたね」と淡々と振り返った。
次なる目標は
リバティアイランドの待つ
秋華賞。武藤師は「昨年の阪神JF以来、胸を張って再戦できる。本番が楽しみだね」とリベンジを誓う。名手の腕で開花した牝馬が、3冠阻止へ堂々と淀へ向かう。
◆
モリアーナ 父
エピファネイア 母ガルデルスリール(母の
父ダイワメジャー)20年3月2日生まれ 牝3歳 美浦・武藤厩舎所属 馬主・高橋文男氏 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績7戦3勝(重賞初制覇) 総獲得賞金9389万6000円 馬名の由来は「スラブの伝承に登場する風の女神」
スポニチ