秋華賞(10月15日、京都)
トライアルの第8回
紫苑S・G2は9日、中山競馬場で17頭が争った。単勝4番人気の
モリアーナが後方待機から馬群を縫って強烈な末脚で突き抜け、牝馬3冠最終戦に名乗りを上げた。重賞初制覇に導いた
横山典弘騎手は55歳6か月18日で、
JRA重賞最年長勝利記録を更新した。2着
ヒップホップソウル、3着
シランケドまで上位3頭が本番の優先出走権を得た。
まさに直線一気。台風一過の中山競馬場は衝撃の末脚にどよめいた。
モリアーナは道中15番手を追走。直線入り口では先頭から10馬身近く離され、武藤調教師も「圏外のところにいたから半ば諦めていた」と苦笑いで振り返るほど絶望的な位置取りだった。しかし横山典は慌てない。馬群の中に突っ込むとパートナーを的確にエスコート。坂の途中、残り150メートル付近から驚異の瞬発力を引き出し、勝ちパターンだった
ヒップホップソウルを半馬身差し切った。上がり3ハロン34秒3は次位に0秒7差をつける最速だ。
本番と同じ2000メートルを初めて走り、稍重でマークした勝ち時計1分58秒0はコースレコードに0秒2まで迫る好タイム。
NHKマイルC(6着)に続く2度目の手綱だった横山典は「休み明けでモサモサしていたけど、最後はいい感じではじけてくれたね」とニッコリ。今春までマイル路線を歩んでいた馬を、自身の勧めで中距離路線へ挑戦させて結果を出したのだから喜びもひとしおだ。
柴田善の55歳10日を抜く、55歳6か月18日での
JRA重賞最年長勝利を飾ったベテランは「まだまだ若いお姉ちゃんだけどいいところがいっぱいあるし、無事にいってくれれば」と平静な口調で、さらに伸びしろが期待できる本番を見据えた。
紫苑Sは過去10年で4頭の
秋華賞勝ち馬を出している優秀な
トライアル。今年は大本命の2冠牝馬
リバティアイランドがいるが、今回の脚ならば最後の1冠を奪取するのも夢物語ではない。昨年の阪神JFでは2番人気に推されながら12着に大敗。それ以来となる“リベンジ”へ、トレーナーは「想像以上の末脚だったし、これくらいのパフォーマンスでいけるのは手応えがあるね。胸を張って再戦できるし、楽しみになったよ」と言葉に力を込めた。秋の淀での打倒女王に堂々、名乗りを上げた。(角田 晨)
◆
モリアーナ 父
エピファネイア、
母ガルデルスリール(
父ダイワメジャー)。美浦・
武藤善則厩舎所属の牝3歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算成績は7戦3勝。総獲得賞金は9389万6000円。重賞初勝利。馬主は高橋文男氏。
スポーツ報知