復活は歓喜とともに。サ
マースプリントシリーズ最終戦「第37回
セントウルS」が10日、4年ぶりに阪神競馬場で行われた。14番人気
テイエムスパーダが逃げ切って昨年の
CBC賞以来、重賞2勝目を飾った。鞍上の
富田暁(26)はデビュー7年目で重賞初制覇。師匠・
木原一良師(69)とのコンビで決めた。中山のサマーマイルシリーズ最終戦「第68回
京成杯AH」は
ソウルラッシュが重賞2勝目。ハンデ59キロの勝利は42年ぶり。4着の
メイショウシンタケが逆転でサマーマイル王者に輝き、サマージョッキーズシリーズはこのレースを制した
松山弘平(33)が初めてシリーズチャンピオンの称号を手にした。
思いが凝縮した67秒の独り旅だった。
テイエムスパーダはスタートから促してハナへ。前半3Fは33秒5。スピードは緩まない。4コーナーを回って追い出しを開始。ラスト200メートルを過ぎても先頭だ。ゴール前で
アグリが迫る。力が入る。1馬身差をつけてVゴール。昨年の
CBC賞勝ちからなかなか結果の出なかった芝1200メートルの日本レコードホルダーが高らかに復活した。鞍上の富田はデビュー7年目で重賞初制覇。所属する木原厩舎の馬だけに、喜びもひとしおだ。
「先生(木原師)も定年まであと1年ちょっと。恩がたくさんあります。少しでも返せたかな。未熟な僕をずっと諦めずに乗せてくれた。(武者修行で)
オーストラリアに行かせてもらった時も、積極的に“いいよ”と言ってもらえた。いつも僕の味方でいてくれる。先生がいないと今の僕はいないです。先生が引退する時に“これなら安心”と言ってもらえるジョッキーになりたいですね」
テイエムスパーダは2月末に五十嵐忠男師の定年により木原厩舎へ。休養を挟み、3走目での勝利。トレーナーは「いい馬を預からせてもらいましたからね。癖を矯正しながら調整しました。今は言うことないくらい素直です」と語った。夏に3走したので、優先出走権を得た
スプリンターズS(10月1日、中山)へ行くか休養かは未定。区切りの
JRA重賞10勝目を弟子とともに。そんな気持ちがあったという。「一緒に勝てたことが、一番うれしい。負ける分には仕方ないから、悔いのない自分の競馬をして来いと。一つ重賞を勝てたのは自信につながると思う。とにかく真面目。その気持ちを貫き通してほしい」。思いがあふれ出し、涙がこぼれた。
26歳のヤングジョッキーはこの夏、北海道で大きな経験を積んだ。「初めて重賞(
エルムS)で1番人気の馬に乗れました。負けたレースも多かったけど、いい経験ができました。同期と比べると劣っている部分もあると思う。でも負けん気だけはあります。“見返してやる”という気持ちでトレーニングも続けています」と口を結んだ。この日は鮮やかに特別戦3連勝。一つの勲章を得て、さらなる
ステップアップへと、こぎ出す。
◇
テイエムスパーダ 父
レッドスパーダ 母トシザコジーン(母の
父アドマイヤコジーン)19年4月25日生まれ 牝4歳 栗東・木原厩舎所属 馬主・竹園正繼氏 生産者・北海道浦河町の浦河小林牧場 戦績15戦5勝(重賞2勝目) 総獲得賞金1億4111万1000円 馬名は冠名+父名の一部。
《記録
アラカルト》
☆騎手&調教師 富田は
JRA重賞49度目の騎乗で初勝利。木原師は18年
東海S(
テイエムジンソク)以来で通算10勝目。
☆種牡馬
レッドスパーダ産駒の
JRA重賞勝利は22年
CBC賞(
テイエムスパーダ)以来で通算2勝目。
☆穴馬 14番人気の勝利は同レース初。馬券は単勝、複勝、馬連、馬単、ワイド((11)(14))、3連単で同レースの最高払戻金額を更新。
スポニチ