「
セントウルS・G2」(10日、阪神)
4年ぶりに阪神を舞台に行われた
スプリンターズSの前哨戦は、14番人気の伏兵
テイエムスパーダが迫り来る強敵たちから逃げ切り、昨年の
CBC賞以来2度目の重賞制覇を果たした。鞍上の富田は、師匠・木原師の管理馬でデビュー7年目にしてうれしい重賞初V。2着は2番人気の
アグリ、3着は5番人気の
スマートクラージュで3連単は97万8840円と波乱の決着。
WIN5は的中1票で、歴代5位となる4億2318万30円の超高配当となった。
暑さの残る仁川をさらに熱くさせた。単勝112・6倍でブービー14番人気の
テイエムスパーダは、抜群のスタートダッシュを決めて果敢にハナへ。道中はマイペースで運び、抜群の手応えで4角をカーブ。直線は富田の左ステッキに応え、上がり最速の脚で差し迫る
アグリを1馬身差で封じ込めた。
鞍上は思わず拳を強く握りしめる。49回目の重賞挑戦でやっと手にした初のタイトル。デビューから所属する木原厩舎の馬とつかんだ勝利に、「重賞では緊張もあり、いい結果を残せていなかったけれど、夏の北海道の経験も経て、師匠の馬で勝てたのはすごくうれしい。この馬の形の競馬ができれば強いと思っていました。関係者の皆さん、頑張ってくれた馬、全部に感謝です」と満面の笑みだ。この日は3鞍に騎乗し、9Rから3連勝と大活躍。「同期たちにもまだまだ劣っているけれど、見返してやる気持ちで一つでも多く勝てるよう精進したい」と力強く言い切った。
検量室前で出迎えた木原師は目頭を熱くし、「やっと重賞勝てたなあ。うれしいなあ」とポツリ。約1年5カ月後に自身の定年を控えるなか、弟子と手にした区切りの重賞10勝目。「自厩舎の馬で重賞を勝ってくれたことが一番うれしい。本当に真面目な子で、これからもその気持ちを忘れずに頑張ってほしい」とエールを送った。
富田も「本当に全部僕がすることを積極的に応援してくれていました。言葉には言い表せないくらい感謝していますし、先生がいなければ今の僕はいない。少しでも恩返しができたかな」と喜びをかみしめる。今後は未定だが、この勝利で
スプリンターズS(10月1日・中山)の優先出走権も獲得。価値ある白星を手にした若武者と快速娘は、実りの秋に向け、一つ上のステージへと歩みを進める。
提供:デイリースポーツ