この重賞は、短距離チャンピオンを決める11月の道営ス
プリントに向けた、重要な
ステップレースである。まずは、昨年のチャンピオンである
スティールペガサスを中心に予想を組み立てるべきだろう。
北海道スプリントCで
JRA勢と互角に渡り合って3着に入るなど、今年もその強さは健在だ。地元馬同士の1200m戦ということであれば、落とせないところである。ただ、今回は、時計の速い決着のなかで懸命に走った
クラスターCからの遠征帰りであり、また、もともと涼しい時季にパフォーマンスを上げる馬で、ここはあくまで前哨戦という位置づけでもある。取りこぼす可能性がないわけではない。
そこで、逆転候補として、何頭かピックアップしておきたい。まずは、同じ角川厩舎で同じ冠名の
スティールストームだ。前走はマイル重賞だから、7着という着順を気にする必要はない。その前の1200m戦での連勝内容には、ちょうど
スティールペガサスが覚醒した昨年時のような勢いが感じられた。「敵は身内にあり」というケースがあるかもしれない。
ジャスパーシャインは今季まだ未勝利だが、持ち前の切れ味が衰えているわけではない。最後方からレースを進めるのが常であるゆえに、近走の条件戦は少頭数のレースばかりで、この馬の良さが生きるペースになっていないのが敗因だ。今回も頭数は多くないが、重賞のメンバーで流れが落ち着くことはないはず。一気に躍進する可能性がある。
また、今シーズン移籍してきた新勢力である
スマートダンディー、
ケイアイターコイズも、中央時代の実績から侮れない馬である。前者は有利と言えない1番枠からの立ち回り、後者はタイムの短縮が課題になるが、押さえておいて損はないだろう。
スティールペガサスが意地を見せるか、大一番を前にしてラ
イバルたちが一矢報いるか。「
ウポポイ」とは、アイヌ語で「(大勢で)歌うこと」を意味する言葉である。果たしてどの陣営が、凱歌を上げることになるだろうか。
(文:競馬ブック・板垣祐介)