3日間開催を締めくくる
菊花賞トライアル「第77回
セントライト記念」が18日、中山競馬場で行われ、ジョアン・モレイラ(39)騎乗の2番人気
レーベンスティールが2度目の重賞挑戦で初タイトルをつかんだ。後方から追い込んだ1番人気の
皐月賞馬
ソールオリエンスは2着止まり。3着
シャザーンまでの3頭が
菊花賞(10月22日、京都)の優先出走権を獲得した。
首差で明暗を分けた昨年11月の新馬戦以来の激突。人気を分け合った両雄は
レーベンスティールが7番手、
ソールオリエンスが9番手で直線に向いた。残り200メートル。先んじて抜け出したのは
レーベン。鞍上モレイラにソールの蹄音は聞こえない。中山名物の急坂で“マジックマン”が左ムチで鼓舞すると、さらに加速。真っ先にゴール板へ飛び込み、決定的な1馬身3/4差をつけて
皐月賞馬へのリベンジを果たした。上がり3F33秒9はメンバー唯一の33秒台。世界を股にかける名手は「
スペシャルホースになる可能性が非常に高い。G1を勝つチャンスがある」と舌を巻いた。
デビュー以来5戦は全て1800メートル。6戦目で初の距離延長。田中博師は「折り合い面に課題があって心配もしていた」という。だが、ふたを開ければ杞憂(きゆう)に過ぎなかった。モレイラは「全てにおいていい勝ち方。自信を持って乗った」と絶賛。指揮官は「馬の気持ちを尊重しつつ、高ぶらせないように絶妙に乗ってくれた」と好騎乗に感謝しきりだった。
今後について、田中博師は「これだけの相手にこれだけのパフォーマンスをしてくれて自信はついた。
トライアルなのでそこ(
菊花賞)も選択肢の一つになる。オーナーサイドと相談しながら、適したレースを考えたい」と伝えた上で、「モレイラは“血統や走り方から距離は持たせられる。2000〜3000メートルは許容範囲”と言ってくれた」とレース後の会話を明かした。
現地で勝利を見届けたキャロット
ファームの秋田博章代表も「皆さんが想像するところ(
菊花賞)を考えなくちゃいけないと思っている」とした上で「一生懸命走ってくれたので、まずは馬の様子を見てから」。高い将来性を目の当たりにしたからこそ、あくまで体調優先の構えだ。
父
リアルスティールが2着に敗れ、母の
父トウカイテイオーが骨折で出走を果たせなかった、因縁めいたクラシック最後の一冠。大きな夢を背負った
レーベンスティールが大舞台で躍動する姿を、ファンは心待ちにしている。
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レーベンスティール 父
リアルスティール 母トウカイライフ(母の
父トウカイテイオー)20年3月8日生まれ 牡3歳 美浦・田中博厩舎所属 馬主・キャロット
ファーム 生産者・北海道日高町の広富牧場 戦績6戦3勝(重賞初勝利) 総獲得賞金8405万9000円 馬名の由来は生きざま(独)。
≪記録
アラカルト≫
☆騎手&調教師 モレイラは18年
京都2歳S(
クラージュゲリエ)以来の
JRA重賞Vで通算5勝目。田中博師は
函館記念(
ローシャムパーク)以来で今年4勝目、通算4勝目。
☆種牡馬
リアルスティール産駒は昨年
デイリー杯2歳S(
オールパルフェ)以来の
JRA重賞Vで通算2勝目。
スポニチ