今シーズンの開催も終盤に入ったところで、改めて、砂が変わった今年の門別の馬場傾向について触れておきたい。開幕から2ヶ月ほどは、昨年までより決着タイムが速い傾向にあったのだが、開催を重ねたことによる砂の劣化もあってか、段々と平均タイムが遅くなりつつある。
また、降雨による馬場状態の変化は決着タイムにほとんど関係なく、水の浮く不良馬場でも、時計を詰める馬は一握りだ。その日ごと、もっと言うと、ハローをかける毎に傾向が異なっている感すらあり、持ちタイムがほぼ参考にならないというのは厩舎サイドとも共通した認識である。いよいよ能力比較が難しくなっている現状だ。
今週行われる
サンライズカップは、
JBC2歳優駿の最重要
ステップレースである。能力比較に関する上記のことを踏まえると、単純に格・実績を重視するべきだろう。
そうなるとやはり、
ブリーダーズゴールドJCを勝利した
ブラックバトラーが最有力だ。何の不利もなく運んだ人気馬
サントノーレや
カプセルをまとめて差し切ったのだから、フロックではない。100mの距離延長が大きな不利になる印象もなく、調整過程も前走より順調である。
少し論点はずれるかもしれないが、目まぐるしく変わる馬場傾向の影響もあり、今年の2歳各重賞路線は、いずれも勢力図が例年以上に不安定である。そういったややメタ的な視点を加味すれば、初重賞挑戦となる
パッションクライ、
インテンシーヴォには、新勢力として既存の勢力図を更に書き換える資格があると考えていいだろう。
前者は、重賞で善戦歴のある
ダバイエスペランサ以下を完封した前走のオープン勝ちに、実力の裏付けがある。中距離戦で連勝中の後者は、一戦毎の地力強化が顕著。同じく門別でデビューし、後に南関東で重賞2勝を挙げた
トランセンデンスの弟という血統的な魅力も注目ポイントだろう。
ブラックバトラー、
カプセルに新勢力の2頭を加えた4頭が争覇圏という様相である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)