まだデビューしたての3月。当コラムで
佐藤翔馬騎手=美浦・小桧山悟厩舎=を取り上げ、今後も注目していきたいと書いたので有言実行。今回は122戦目で手にした
JRA初勝利を深掘りする。
地方では4月4日の川崎競馬で勝利していたが、
JRAでの待望の瞬間は9月10日の中山1Rだった。「たくさんの人に『おめでとう』と声をかけていただいて、すごくうれしかったです。同期が勝っていたなかで自分は勝てなかったので不安、焦りがありましたから、ホッとしたのが一番ですね」と素直な気持ちを明かしてくれた。
一生忘れることはないであろう愛馬は
ホーリーブライト(牝2歳、美浦・
竹内正洋厩舎、父
マクフィ)。レース当日の単勝オッズは6番人気と確勝級の馬ではなかったが、反省と工夫で初白星をつかみ取っていた。
デビューからコンビを組み、新馬戦は10番人気で7着。2戦目の未勝利は9番人気で3着と着実に前進していたが、この3着のレースぶりが大反省だった。「もう一列前のポジションをとれたけど控えてしまったところがあった。結果的に勝ち馬との着差はありましたが、もう一列前につけられていたら、というのはありました」。
今度こそ「自信を持って積極的に乗る」という強い決意と、普段の調教、レースでも見せていたコーナーで外に膨れる面の対策としてハミを換えて臨んだ本番。大外枠から出していき、スムーズに2番手を確保して1番人気の逃げ馬を密着マーク。直線は激しい競り合いの末、ラスト100メートルを切って先頭に立ち、そのまま押し切った。
「これで満足せず、(勝利を)積み重ねていきたいです」と、すでに気持ちを切り替えて2勝目に向けて努力を続けている
佐藤翔馬騎手。父は川崎の元騎手で現調教師、母は元厩務員という競馬一家で育った若武者の
サクセスストーリーはこれからだ。(
中央競馬担当・西山 智昭)
スポーツ報知