今週末の日曜(24日)阪神では
菊花賞最終
トライアル・GII
神戸新聞杯(芝外2400メートル=3着までに優先出走権)が行なわれる。当欄が狙うのは3戦負けなしの
ロードデルレイ。戦績が示す通り、陣営が期待するクラシック候補だが、走るたびに見つかるのが「課題」。しかし、たとえ成長途上の段階でも狙いたくなる素材だ。
無傷の3連勝で初めて重賞に挑む
ロードデルレイ。全てのレースで上がり33秒台の末脚を駆使し、その瞬発力を武器に
菊花賞の優先出走権を獲得するかに注目の集まる一戦。ただし、一見は輝かしくも映る戦歴とは裏腹に、陣営からは数々の課題も指摘されてきた。追い切りでは坂路4ハロン51秒台の好時計をマークしながら、2番人気の評価に落ち着いた1月東京のデビュー戦。1番人気の支持を集めたのは同厩舎で川田騎乗の
パールロード。
血統背景なども考慮すれば当時とすればそれ相応の評価であったのだろう。レースでは直線で窮屈な位置に入って仕掛けの遅れた
パールロードに対して、坂井の好判断によってスムーズに外へと誘導されると一瞬で加速してゴールでは4馬身差をつける圧勝劇。改めて能力の高さを再評価されることとなったが、操作性の良さが長所たるところまでには至らず、背伸びをせず自己条件へ出走した2戦目、
つばき賞では陣営が懸念していた右回りで右にモタれる面を最後に覗かせていた。それでいて力で押し切るのだからもはや素材の良さは疑いようもないものとなるがあくまでも1勝クラスでの勝利であり、2戦目が重賞であったら同じ結果が得られたかは疑問となるところ。
さらにはクラシックの
トライアル出走へ向けて調整を進めていたところアク
シデントが発生。運動中の他馬に乗りかかって自らが転倒、大けがを追うこととなり春シーズンの休養を余儀なくされることとなる。優等生のレースぶりとの評価は、ジョッキーの好騎乗と陣営による慎重な調整がなされていたからこそ得られた結果であり、気性面の危うさがレースとは別なところで露見することとなった。
休養明けの秋初戦は9月新潟の自己条件。2勝クラスの
赤倉特別は完勝と言える内容だったが、ここでも陣営は先を見据えた意味で課題を再発見する。「ジョッキーによるとハミ受けなどに少し問題はみられたとのことでしたが、まだまだ課題の残る中でも勝ち切れたことに意味があると思います」とは福永助手。休み明けでの緩さや、口向きや操作性に課題を残しながらも必須条件の勝利を手にして進む次の
ステップ。
「前走後も在厩したまま調整を進めて、ダメージが残った様子はみられません。前走から間隔は空いていないので、1週前追い切りはそれほど速い時計を出す必要はないでしょう。あとは当週の調整で態勢は整うとみています。阪神コースで勝ってはいますが右回りの競馬は今回で2度目。それも1勝クラスでのものだったので重賞メンバーを相手にどうかという問題はありますし、距離が2400メートルに延びればさらに折り合い面なども課題となってきますからね。もちろん期待はしていますが、強いメンバーが揃う重賞でどういった走りができるか、どれくらい通用するかだと思います」と福永助手が慎重な構えを崩さないのは
ロードデルレイの歩んだこれまでの道のりが決して平たんでなかったことを示し、裏を返せば重賞級の素質に大きな期待をもっていればこそのものであろう。
メンバー強化はもちろんのこと、右回り、初距離への対応など権利獲得はたやすいミッションではないことは承知の上だが…。将来に夢をつなぐ全力投球の走りを素質馬には期待せずにはいられない。
(特捜班)
東京スポーツ