「
凱旋門賞・仏G1」(10月1日、パリロンシャン)
欧州最高峰の一戦に、今年は
スルーセブンシーズが参戦する。G1未勝利ながら、
宝塚記念で世界No.1ホース・
イクイノックスと互角の勝負を演じた5歳牝馬。決戦を前に、同馬を管理する
尾関知人調教師(51)=美浦=がインタビューに応じた。
-いよいよ
凱旋門賞。挑戦に至るまでの経緯を。
「中山牝馬Sを勝って、次戦を相談している過程でヴィクトリアMか
宝塚記念かという話になりました。馬の体調はもちろん、条件的なことや間隔的なことを考えて
宝塚記念に決まりましたが、その流れの中で“
凱旋門賞に登録するという選択肢も作りませんか?”とオーナーサイドと話をして。仮にそういうチャレンジができる結果が出れば、その時にまた考えましょうと。その後、
宝塚記念でいい競馬をしてくれたので、さらに話が進展しました。レース後は少し回復に時間がかかりましたが、放牧先でしっかりと立て直してもらって、秋競馬に参加できる状態になりました。そこで改めて検討し、
凱旋門賞へ挑戦することになりました」
-自身は13年に
ステラウインドで仏遠征(フォワ賞5着、ドラール賞7着)を経験。ちょうど10年がたった。
「あの時の
凱旋門賞は
オルフェーヴルがいてね。2着に負けちゃうのか、と…。
キズナは直線頑張って4着に来てね。あの頃は、厚い壁の先が見えてきた感じだったけど、そこから先はなかなか高い壁があるな、と感じています。でも実際、あのレースを見て“参加してみたい”という思いが強くなりましたし、タフで本当に最後まで頑張り切れる、気持ちの強い馬が勝つのだなと思いました」
-自らの管理馬で世界の高い壁にチャレンジする。
「この10年で高い壁に一番ぶつかっていったのはノーザン
ファームさん。木實谷さん(NF天栄場長)が“日本で結果を残した馬で、しっかりした牡馬を連れて行っても結果が出ない。きゃしゃとまでは言わずとも、
凱旋門賞はそこまでゴツくない牝馬が走っている”と話していました。もちろん、その中で能力が高くなきゃいけないけど、そういった話の中で、この馬でチャレンジしてみてはどうかという話になりました」
-
スルーセブンシーズの可能性について。
「日本の道悪をこなした馬が挑戦してはね返されているけど、この馬自身も道悪の
ミモザ賞を圧勝してくれたし、日本でいう重、不良レベルはこなせるかなと。それでいて、この馬は体重的な軽さがあり、ある程度、回転数も高いタイプ。天気はその時になってみないと分からないが、いろんな可能性の中で馬場への適性は高いのではないか。そこは、遠征する一つの材料ではありました」
-距離に関しては。
「そこまで心配はしていませんが、本格化する前の
オークス(9着)しか二四を走っていないので、そこに対応できるかどうか。の
宝塚記念であれだけの競馬をしてくれたし、あと1Fを何とかこなしてほしい。そのあたりを考えて、最終調整は少しでも心肺機能が高まるようにコースで追い切りました」
-最後に意気込みを。
「ある程度、前半の入りは鍵になるな、という認識は持っています。折り合いはつくけれど、気が入るタイプなので前半をうまくなだめて行ければ。全然後ろからでは駄目だし、かといって行き過ぎても駄目。そのあたりはルメールジョッキーもよく分かっているだろうし、この馬とのコンビでは全部勝ってくれていますからね。絶妙なところで競馬ができればと思います」
提供:デイリースポーツ