◆第57回
スプリンターズS・G1(10月1日、中山競馬場・芝1200メートル)
いよいよ今週、10月1日の第57回
スプリンターズS(中山)で、秋のG1が開幕する。昨年5着の
ナムラクレアは、この1年で様々な課題を克服。「あとは少しの運」と万全の状態で悲願のG1初制覇に挑む。
悲願のG1制覇に向け、
ナムラクレアがひとつずつ課題を克服してきた。21日の1週前追い切り直後、浜中は「特に問題ありません。このままいい状態で迎えられれば、実力的には勝てる馬。当日の馬場傾向と枠順、あとは少し運が向いてくれれば」と淡々と話し、自信をにじませた。
5着に敗れた昨年の
スプリンターズSは、上位4頭がすべてクレアより内の馬番。2番人気を背負って勝ちに行かざるを得ず、勝負どころで外を回したぶん、苦しくなった。「内側の馬が強かったし、言っても3歳牝馬でしたからね。こっちは外めを回りましたし」と振り返る。
今年初戦の
シルクロードSは、初めて55キロより重い斤量を背負った。トップハンデタイの56・5キロで、新馬戦(3着)以来となる左回りも克服。勝負どころで囲まれる競馬になったが、ひるむことなく直線もインを突いて重賞3勝目をゲットした。
鞍上が「今までゴール前で少し甘くなっていましたが、勝ち切ってくれました」と喜ぶように、今年から1週前追い切りまでは栗東・CWコースで負荷をかけ、調教パターンを変更したことも功を奏した。長谷川調教師は「体に柔らかみが出ましたし、メンタル面の強さにつながっていると思います。力みがとれて、前進気勢があるなかでも冷静に走れるようになってきました」と指摘。レースで最後のひと伸びにつながっている。
高松宮記念は、勝った
ファストフォースとは不良馬場の適性の差が出ただけ。トレーナーも「やっぱり切れる馬なので、良馬場でやりたい。力を出し切る姿を見たい」と切望する。前走の
キーンランドCは、札幌6週目の重馬場で枠の恩恵も大きかったが、外を回って勝ち切り、
パワーアップした姿を誇示。馬場や外を回すことへの不安材料も払しょくした。
昨年は
桜花賞まで戦い抜き、
スプリンターズSまでに2戦。函館、小倉への輸送も含めて、タフな状況だったが、今年は春から1戦して本番を迎える。長谷川師は「今年は臨戦過程が違います。前回より体に張りが出て、上積みも感じます。これだけの素質がある子になかなか出会えることではないので、何とか大きなタイトルを」と力を込める。開業5年目での大仕事に向け、機は熟した。(玉木 宏征)
スポーツ報知