ハードル界の絶対王者として長らく君臨した
オジュウチョウサンが昨年暮れの
中山大障害6着を最後に現役を引退、種牡馬入りしたことは多くの方がご記憶だろう。ハードル関連は記事になることがどうしても少なくなる中で圧倒的なネームバリューを誇ってきた。
その偉大な兄からちょうど10歳下になる
スターチョウサン(牝=父
ブリックスアンドモルタル、
母シャドウシルエット・小島)が、いよいよ日曜(10月1日)の中山芝内1800メートル新馬戦でデビューを迎えるとなれば、障害とは無縁のこの“POG”でも触れないわけにはいくまい。
ここまでの軌跡を改めてたどると、函館競馬場で6月30日にゲート試験に合格。“気性の強さ”が持ち味だった兄譲りなのか、現地で調教に参加していた小島調教師いわく「すべてが新鮮(=敏感に反応する)」と手を焼きつつも、その後は順調に調教を重ね、鞍上・
武豊で8月13日の札幌芝1800メートルでのデビューが一旦は決まった。ところが、その矢先に馬房内で外傷を負うアク
シデントに見舞われ、プランは白紙に…。
幸いケガの回復は順調で、美浦に帰厩してからは中山デビューに照準を合わせて追い切りを重ね、トレーナーが手綱を取った21日の南ウッド3頭併せは気性の強さを考慮して意識的にセーブしたため、3馬身ほど後れを取る形にはなったものの、馬なりのまま6ハロン85.8-12.8秒をマークと攻め過程はすこぶる順調だ。
「まだ集中力が続かなくて、気持ちがどこか(別のほう)に行っている。メンコをしたほうがいいかも。そのあたりは思案中です」と小島調教師は気性面を課題に挙げると同時に「北海道の時は“
武豊待ち”で出走までの時間があった分、じっくり乗り込めていたけど、今回はピッタリめの日程なんだよね」とタイトな調整過程であることも隠さない。
一方で「時計は水準級のものが出ているし、背中の感触もいい馬。あとはどう育てるか」と将来への期待もまた大きい。美浦のみならず、北海道や栗東滞在など全国を駆け回って管理馬の調教に騎乗する小島師をして「北海道で2回も落とされた」という“ヤンチャ娘”だが、血統の
バックボーンを含め、大いに可能性を感じている様子だ。
ちなみに記者は“障害馬としての可能性は?”と少々、意地の悪い質問をしたことがあるが、「やらせてみたい感触はある」と。こちらの可能性はいずれまたの機会に。まずは
スターチョウサンの船出に大いに注目してほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ