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凱旋門賞 スルーセブンシーズ7つの海を越えて(3)
日本競馬悲願の
凱旋門賞制覇へ。今年、日本から出走するのは
スルーセブンシーズ(牝5)1頭。2歳時から成長を見守ってきたノーザン
ファーム天栄の木実谷雄太場長(43)に意気込みを聞いた。
着実に成長してつかんだ夢切符だった。ノーザン
ファーム天栄の木実谷場長が、
スルーセブンシーズを初めて見たのは2歳のとき。「今より20〜30キロ軽くて、まだまだ成長途上という感じ」。だが、木実谷場長はキラリと光るものを感じていた。「当時から走りは素軽かった。楽しみな馬が出てきたなと思いましたね」。
木実谷場長の期待通り、
スルーセブンシーズはデビュー戦を快勝した。だが、当時は「すぐに
テンションが上がって、心身が消耗するタイプ」。レースを使った後は思ったような調整が難しく、間隔を空けながらの出走を余儀なくされた。
転機は昨年8月・
日本海S後の休養。ノーザン
ファーム天栄で長い期間リフレッシュさせたことで、馬体が飛躍的に成長した。「体がふっくらして、しっかりした調教ができるようになった。代謝も良くなって、反動が出なくなりました」。
復帰後は破竹の勢い。今年の
初富士Sを快勝すると、その勢いのまま
中山牝馬Sで重賞初勝利。
宝塚記念では
イクイノックスに肉薄した。「フットワークの良さやアクションの良さが出てきましたね」と木実谷場長は成長を実感している。
凱旋門賞を秋の目標に定めてからはノーザン
ファーム天栄でじっくり調整。「激走したな、という感じはあったので疲れを取ることに専念しました」。7月下旬からは坂路で乗り込み、順調に状態を上げてきた。直行ローテにも「この馬の脚元を考えると、これがベストですね」と不安はない。
数々の日本馬が大きな壁にぶち当たってきた芝の頂上決戦。木実谷場長は「日本とは同じ距離を走っても走破時計が全く違いますし、これまで日本のトップホースたちが勝てていないわけですから、好走するために別の資質が求められると思います」とレースを分析する。
「天気や馬場、枠順などは私たちにどうすることもできませんから。私たちは
スルーセブンシーズがレース当日をベストコンディションで迎えられるよう、全力を尽くすだけです」。木実谷場長がデビュー前からほれ込んでいた5歳牝馬が、世界をあっと驚かせる。=終わり=
スポニチ